日本マイクロソフトは2018年6月29日、プレスカンファレンスを開催し、Windows 10 バージョン1803(April 2018 Update)に関する新機能や、今後のロードマップについて説明した。その際、タイムラインについて説明があったため、以前の連載でも取り上げたサムネイルの生成について訪ねたところ、現時点ではノーコメントという回答だった。

  • Windows 10 バージョン1803における新機能と改善機能

タイムラインはApril 2018 Updateで実装された機能だ。使用したアプリやドキュメント、閲覧したWebサイト情報をMSA(Microsoftアカウント)もしくはAAD(Azure Active Directory)経由で共有し、自身の活動を可視化する機能である。そのコンセプトはMicrosoft Graphに極めて近い、と述べるよりもMicrosoft Graphのアプローチからタイムラインという機能が生まれたという方が正確だろう。

さて、タイムラインに並ぶカードは「Adaptive Cards」を用いている。これはMicrosoftが提唱する通知システムの一種だが、Microsoftのドキュメントによれば、タイムライン対応アプリはシステムにUserActivityを投げ、SaveAsyncメソッド経由でMicrosoft Graphに情報を保存する仕組みだ。

  • タイムライン上のカードを検索することも可能だ

筆者が気になるのは、サムネイルの有無である。上記画像はWindows 10 バージョン1803で撮影したものだが、Microsoft EdgeでもGoogle Chromeでもサムネイルを付与したWebサイトと、生成しないWebサイトがあることにお気付きだろう。

Schema Explorerを見ると分かりやすいのだが、これはAdaptive Cardsの構成情報を記述するJSONファイル内で、BackgroundImageを指定するか否かの違いである。実際にコードを書いていないため断言できないが、JSONの内容を自動生成する際に、Webコンテンツであれば何らかの画像をネット上から、アプリならサムネイルを生成し、一時ファイルなどに格納することで、サムネイル表示が可能のようだ。

筆者の環境ではMPC-BEや秀丸、XnViewがタイムラインに並んでいるが、いずれもサムネイルを示さない。つまり、これらのアプリはAdaptive Cardsに対応していないことを意味する。個人的には日常的に使用するアプリが対応し、タイムラインがにぎやかになることを期待したいが、こればかりは開発者の対応を待つしかない。

  • リリース時期は未定だが、タイムラインはスマートフォンにも展開する

MicrosoftはタイムラインをWindows 10だけでなく、iPhoneやAndroidといった他OSにも提供を予定する。Build 2018で行ったデモンストレーションでは、iPhoneはMicrosoft Edge上、AndroidはMicrosoft Launcherで利用するのだが、上図に示したスライドにもあるとおり、Adaptive Cards未使用のカードが並ぶ様は少々さみしい。エンドユーザーがタイムラインという機能を理解し、利便性を享受し始めるには、Microsoftの支援と、開発者の尽力が欠かせないだろう。

阿久津良和(Cactus)