Microsoftは昨日開催した開発者向けカンファレンス「Build 2018」で、Windows 10 バージョン1803(April 2018 Update)で実装を見送ったクラウドクリップボードを、Windows 10 Insider Previewに組み込むことを発表した。2018年5月9日(現地日時)にリリースしたWindows 10 Insider Preview ビルド17666では、その機能を確認できる。

以前にも「クラウドクリップボード」という名前の機能が発表されていたが、今回実装したのは、それとは異なる存在だ。Microsoft CVP Windows Phone Program Management, Joe Belfiore氏は「スマートフォンとの連携にフォーカスしている」とツイートしており、公式ブログによれば、本機能は「クリップボード履歴(clipboard history)」と称するようである。

Windowsでは、文字や画像などを一時的に格納するクリップボードをそなえているが、その内容をネット経由で複数のデバイスにわたって同期可能にしたのが、クリップボード履歴だ。

  • 任意の内容をクリップボードに格納すると、クラウドクリップボードの利用をうながされる

同期ロジックはタイムラインやSetsと同じローミング技術を使用し、クリップボードの内容をMicrosoftアカウントやAAD(Azure Active Directory)アカウントにひも付く領域に格納。そして、同アカウントを持つPCに展開することで実現している。ちなみに筆者が確認した限りだが、クリップボード履歴の既定設定は無効だった。

  • 「設定」に加わった<システム/クリップボード>の設定項目

  • [Win]+[V]キーでクリップボードの内容を確認できる

Windows 10 Insider Previewを展開した複数のPCで動作を確認すると、「設定」でクリップボード履歴を有効にしても、任意の文字列や画像をクリップボードに格納しないと動作しなかった。最初にPC1で有効化して文字列をコピーしてみたが、クリップボード履歴を有効にしたPC2のクリップボードは、いつまで待っても空の状態である。PC2でも適当な文字列をクリップボードに格納すると、ようやく同期が始まった。

  • PC2で任意の文字列をコピーしてみた。こちらはピン留めやアップロードの有無を選択するボタンが現れた

  • 数十秒ほど待つとPC2でコピーした文字列が、PC1でも表示されるようになった

現時点でクリップボード履歴は開発途中であり、実用性はまだ低い。クリップボード履歴自体は文字列、HTML、1MB未満の画像に対応しているが、ローミング可能な文字列は100kb未満に制限しているという。つまり、履歴として文字列/HTML/画像を参照できるが、ほかのデバイスと共有するのは文字列のみということだ。

例えばデスクトップPCで書いた短いコードをクリップボード履歴に格納し、横のノートPCで実行するのはしばらく先の話となる。もちろん開発に限れば、Visual StudioやVisual Studio Codeでコーディングやデバッグの共同作業を実現するVisual Studio Live Share機能を使えば済む話だが、デバイスの垣根をなくすという意味では、今後の制限撤廃に期待したい。

ちなみにクラウドクリップボードは「Your Phone」と呼ばれる機能に引き継がれる。同機能はスマートフォン上のテキストメッセージや通知、撮影した画像をPCと共有するものだが、ビルド17666は未実装のため、どのような機能になるかは不明点が多い。ただ、Belfiore氏の発言を踏まえれば、Timeline on Phoneと同様に何らかのアプリ経由でクリップボード履歴の内容を共有可能になるだろう。

阿久津良和(Cactus)