まずiOS 12だが、対応ハードがiOS 11と同じという点が、これまでのiOSの進化の中ではやや特例的な対応だ。さらに古いハードでもアプリの起動などが速くなるという。ユーザーとしては喜ばしい点だが、プレゼンの内容も踏まえてなぜこのようになったかを考えると、iOS 12は、これまでの感覚ではiOS 11.5くらいの内容で、その分OSの最適化などに社内のリソースを割り当てたのではないだろうか。

  • OSのアップデート速度を遅くして完成度を高める方向にする、という噂は昨年の間に上がっていた。iOS 12とmacOS Mojaveの内容を見る限り、噂の信憑性は高そうだ

OSの新機能として紹介された中では、ARKit 2がやはり目玉だろう。Apple A9以上が必要なので、iPhone 7以上、またはiPad 6th/iPad Proでしか利用できないが、それでも世界中で流通している台数は膨大なはず。世界最大のARプラットフォームとしてのiOSという位置付けが何を生み出すのか、大いに期待したい。

また個人的に嬉しかったのが、スマホの利用状況を確認し、利用時間の制限も可能になった「Screen Time」だ。お子さんのいるご家庭ではどこもそうではないかと思うのだが、我が家では子供達が夜遅くまでYoutubeなどを見て、なかなか寝ないので困っている。iOS 12になれば強制的にシステム側で利用時間を制御できる(本音を言えば、あまり制限したくはないのだが)。

  • 昔のMac OSにはペアレンタルコントロールで起動時間などを制御する機能があったのだが、最近は削除されていて久しい。もう少しこの辺の機能を充実させてほしいところだ

タスクの自動化機能である「Shortcuts」は、アップルが買収した「Workflow」(現在も配付中)をAppleらしくリメイクした感じだが、上級ユーザーはもちろん、誰かが設定してあげれば、初心者にも役立つ機能になりそうだ。

  • 複数のタスクを組み合わせて1つのショートカットで実行、というような簡単なマクロ処理が可能になる「Shortcuts」はカスタマイズ好きなAndroidユーザーにも訴求するかも?

それからあまり注目されていないのが残念だが、CarPlayでサードパーティ製ナビアプリが解禁されたのは注目に値する。日本はカーナビ発祥の地だけあって、地図(ナビ)アプリも多数存在するわけだが、これらのアプリが活躍する場が増えることになる。実はCarPlay対応のカーナビも地味に増えているので、もう少し注目されてもいいと思う。

  • CarPlayもGoogle Autoも、当初登場したときから比べると随分態度が小さくなってきたというか、ごり押しが効かないことがようやく理解されたというべきか

その他では、自作Animoji「MeMoji」の追加も興味深い。これは将来、Animojiの利用に必須である「TrueDepthカメラ」が他のiOS機器、のみならずMacなどにも搭載されることになる証明のようなものだろう。将来MeMojiは、名前が似ている任天堂の「Mii」のように、自分自身のアバターとしてゲームやVR/ARコンテンツに利用できるようにするのではないだろうか。

  • Galaxy S9なども似たような機能を搭載していたが、そんなに皆自分のアバターを作りたいのだろうか…?