さんざん言い古された感のある見出しを付けてしまったが、WWDCは「開発者会議」(Developer Conference)の名の通り、開発者向けに開発情報を提供し、意見交換することが目的のイベントだ。ついハードウェアの新製品発表を期待してしまい、新ハードがなければ「つまらない発表だった」などと評されて、Appleの株価にまで影響が出るほどだ(新製品発表の場であれば別途スペシャルイベントを開催すればいい話なのだが)。そんなわけで、こうした不満の声が上がるたびに、古参のAppleユーザーは「WWDCは開発者向けのイベントであって、製品発表の場じゃないから」と言ってきた(筆者もよくそう書いてきた)。

とはいえ、思い返すと確かにWWDCで新製品が発表されるケースも比較的多かったように思う。こういうのは印象ではなくデータできちんと確認するべきだろう。ということで、手元に記録が残っている、過去22年ぶんのWWDCのデータを引っ張り出してまとめたのが次の表だ(ちなみにWWDC自体は1990年にスタートして今年が28回目になるが、あまりに古いデータは筆者も保持していない)。

ご覧の通り、案外ハードウェア製品の発表があったのは22回中11回と、全体の半分だった。ただし、ここ数年は大半がMacBookシリーズやiMacのCPUアップデート中心で、完全新作というのはWWDCが初のお目見えとなる完全新作のハードウェアというのは、案外少ない。おそらくiPhone 3G、3GS、4と続いたことに加え、前述したCPU関連のアップデートなどが強い印象となって残っているのだろう。

新製品がないということは、新機能に惑わされず、アプリの開発に専念できるということでもある。ハードの魅力が高いのでつい期待してしまうところだが、あくまで開発者向けの話題が中心ということで、次なるスペシャルイベントの開催を待つといいだろう。案外早く開催されるかもしれないのだから。