2015年11月のWindows 10 バージョン1511(November Update: Threshold 2)から始まった機能更新プログラムも、今回のSpring Creators Update: Redstone 4で5回目。本稿は既存の特集記事を補完する形で、最新のWindows 10に関する改善点や変更ポイントを余すことなく紹介する。
本特集記事は、Windows 10リリース時に掲載した、以下の特集記事「~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 10大百科」の続編として、2018年4月公開のRedstone 4(Spring Creators Update/April 2018 Update)での改善点、変更点を解説しています。
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【特集】~インストールから設定・活用まで~ すべてが分かるWindows 10大百科
http://news.mynavi.jp/special/2015/windows10/
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Windows 10の、OSそのもののより詳しい情報が必要な場合は、上記リンク先の特集記事もあわせてご覧いただくことをおすすめします。
Windows as a Serviceの功罪
Windows 10の機能更新プログラムは、従来のサービスパック(Service Pack)に相当する。多くのMicrosoft製品は、新たに発覚したバグを修正する更新プログラムや、セキュリティホールを塞ぐセキュリティ機能更新プログラムをまとめ上げたサービスパックを、任意のタイミングでリリースしてきた。
本来は各更新プログラムの累積だけで済んでいたサービスパックだが、新たなソフトウェアや新機能を実現するためのコンポーネント(部品)の変更を含むようになると、全体の整合性が取れなくなる。その影響で意図しないバグに遭遇した経験を持つ方も少なくないだろう。当時のMicrosoftが主体としていたウォーターホール型開発は限界に達していたのだ。
その結果としてMicrosoftは、Windows 10と共に「Windows as a Service(以下、WaaS)」という概念を導入した。WaaSはバグフィックスと共に新機能や最新のセキュリティ対策を、継続的に提供するサービスモデルである。だが、新機能の実装はバグが潜む大きな要因になりかねない。ユーザー側は利便性向上という恩恵を受けると共に、新た操作方法の学習や利用体系の見直しといった負担を強いられるようになった。
では、WaaSは粗悪な存在なのだろうか。答えは否だ。例えばハードウェアの互換性問題を例にすれば、Windows XP時代のデバイスが、Windows 10 PCで動作しないケースは筆者も体験してきた。
だが、動作しないデバイスを仮想環境などで使い続けるよりも、購入時よりも安価かつ高性能な同種のデバイスを入手できる状況を鑑みると、Microsoftが長年重視してきた後方互換性にユーザーが固執するのは非生産的ではないだろうか。
ネット上を見渡すとWindows 10に対する悪評を目にすることが多い。確かに月例の更新プログラムが正しく適用できないなど、間の抜けた問題は残っている。本件についてはWindows Updateのキャッシュ情報をリセットするトラブルシューティングツールを使えば改善する可能性が高いものの、「設定」の1機能として用意しないのはMicrosoftの怠慢だろう。
だが、デバイスが動作しない、16ビットのアプリケーションが(WOW64の構造的理由で)64ビット版Windowsでは動作しないといった現象を問題視するのは、そろそろ終わりにすべきだろう。
16/32ビット時代にあった、ハードウェアを主体とする旧態依然の利用方法ではなく、現状に即した考え方が必要だと筆者は愚考する。PCというデバイスやWindows 10というOSを基盤とするのではなく、その上で利用するアプリケーションや作成したデータを分離して、クラウドを念頭に置いた活用方法を選択する。それがWaaSが目指すコンピューターのあり方なのだ。