Windows 10と共に誕生したMicrosoft Edgeだが、StatCounter Global Statsの2018年3月の調査結果は、Google Chromeが57.69%と首位に輝き、肝心のMicrosoft EdgeはInternet Explorer(5位)を下回る9位という有様である。この数値はすべてのプラットフォームを対象にしており、スマートフォン版はベータ版であるため、公平な数値とは言い難い。そこでプラットフォームをデスクトップに限定すると、Google Chrome(66.97%)、Mozilla Firefox(11.59%)、Internet Explorer(7.03%)、Safari(5.37%)、Microsoft Edge(4.17%)という結果になった。残念ながらどちらの場面でも最下位という現状は変わらない。

だが、Microsoft Edgeはそれほど悪いWebブラウザーだろうか。例えば拡張機能を追加せず、素の状態で使うことを踏まえればMozilla FirefoxやGoogle Chromeと大差はない。ただ、前節でも述べたようにデバイス間の溝を塞ぐという観点で見ると、iOS版Microsoft Edgeの使い勝手はそれほど高くなく、iOS自体が標準Webブラウザーを選択できないという問題点を差し引いても、PCとスマートフォンの連動という観点ではGoogle Chromeに軍配が上がる。

細かな改良を加えたMicrosoft Edge

まだまだ改良の余地があるMicrosoft Edgeだが、Windows 10 バージョン1803においてはマイナーな改良が多数加わった。動画コンテンツを再生中に特定のタブだけを消音する機能や、EPUB閲覧環境を向上させるため、UI回りの改変や保存機能(無料のEPUBのみ)も供えている。また、ここでもデバイス間の溝を塞ぐため、閲覧ページの情報をローミングするようになった。

  • 楽曲を再生するWebページにスピーカーアイコンが現れるのは以前と変わらないが、コンテキストメニューから消音可能になった

  • 無料配布しているEPUBは保存ボタンが有効になる。また、UIの変更も新たな特徴の1つ

  • ブックマーク保存機能も改良し、追加操作と保存済み情報を1つにまとめている

この他にもECサイトにおける住所などの自動入力やInPrivateブラウズ時の拡張機能有効化などが変更点として並ぶものの、目新しいのはService Workerが標準化だ。バックグラウンドで実行可能なスクリプトとしてGoogle ChromeやMozilla Firefoxは先行サポートしていたが、Microsoft Edgeでもようやく利用可能になる。

  • InPrivateブラウズ時も拡張機能を利用できる

この仕様変更で恩恵を受けるのがPWA(Progressive Web Apps)だ。HTMLやCSS、JavaScriptなどを駆使したWebアプリケーションの一種だが、ローカルストレージに保存するオフライン実行や、Service Workerと連携したバックグラウンド処理などOSネイティブなアプリケーションに近い動作を可能にする。MicrosoftはPWAの利用範囲をMicrosoft Edgeに限らず、通常のデスクトップアプリのように実行可能にするという。まだ、具体的なPWA化したアプリケーションが登場した訳ではないが、今後のはMicrosoft Storeに並ぶコンテンツの増加が期待できそうだ。

  • [F12]キーで起動する開発者ツールのパネルは垂直方向のドッキングをサポートした

ご覧のように、Microsoft Edgeは着々と新機能をサポートし、先行するGoogle Chromeと肩を並べようとしている。昔話になってしまうがNetscape NavigatorのシェアをInternet Explorerが奪い取ったのは、WindowsというOSの圧倒的シェアが大きかった。だが、現在はPCに限らず、スマートフォンやタブレットというプラットフォームが混在する環境である。Microsoft Edgeが台頭するタイミングはいつになるのか、もしくはそのチャンスを迎えられるのか。我々エンドユーザーとしては、Microsoft Edgeを横目で意識しつつも、好みのWebブラウザーを使う日々が続きそうだ。