2019年にも商用サービスが始まるとも言われる次世代の高速携帯通信規格「5G」。世界各国でさまざまな企業が、その開発を行っているが、中でも「2020年に東京五輪を控える日本地域から、5G関連のビジネスを成功させていかないといけない」と、日本の重要性を強調するのは、Keysight Technologiesの日本法人であるキーサイト・テクノロジーの職務執行者社長 兼 電子計測本部長であるJun Chie(チエ・ジュン)氏だ。
5Gは韓国・平昌冬季五輪にて、活用イメージなどが示されるなど、アジアが商用展開の中心地域となりつつあり、日本も2020年に開催される東京五輪で本格的に活用される見通しとなっている。
5G商用化に向けたグローバルのスケジュールとしては、2018年にプロトタイプ、2019年に商用試験の開始が韓国や米国で掲げられている。目前に迫っている商用サービスの開始だが、そこにはまだ2つの大きなチャレンジが残されているという。1つ目は、ミリ波帯域を用いた通信を民生機器が行うということ。もう1つが、2020年の東京五輪という後ろにずらせないイベントが待ち構えているということである。そのため、同時進行の開発を進めることで、Time to Marketを解決していくことが重要になってくるという。
そこで重要になってくるのが電波品質の確保となる。「キーサイトはレイヤ1からレイヤ7にわたる幅広い計測ソリューション、そしてシミュレーションまでをも有する稀有な企業」と同氏は、キーサイトの優位性を語るほか、ミリ波帯域についても、長年、防衛産業向けとして実証されてきたノウハウなどがあることなども、強みとなってくることを強調する。さらに、レイヤ1からレイヤ7までサポートしていることで、5Gの実用化に向けたシステムの設計から、研究・開発、認証試験、そして製品の製造に至る一連のワークフローを全体俯瞰的にサポートできる体制を企業買収などを通じて近年、強化してきており、全体を見据えつつ、各ワークフローで必要となるソリューションを提供できることも強調する。
2020年の東京五輪に向けて、本格商用サービスの開始に向けて急ピッチで開発を続ける日本で、キーサイトの存在感は増しつつあり、近年、高い成長率を達成し続けているという。2020年に向けた現在は、チップベンダや基地局、キャリアといったプレイヤーが主だが、これが2019年、2020年、そしてそれ以降、と時間軸が進めば、そこに5Gを活用した新たなサービスやソリューションの提供を目指すSIerやサービサーなどが、新たなプレイヤーとして入ってくる。そうした意味では、「日本で5G関連のビジネスを成功させることが重要。また、その成功をグローバルにどう展開していくかも考えていくことも必要」と、同氏も語っており、今後も積極的に日本での5G商用化に向け、測定ソリューションとしての側面からサポートを行っていくとしていた。