ソニーから、エントリークラスのサラウンドAVアンプや、アナログレコードプレーヤーとの組み合わせにも適した2ch対応のステレオアンプを発売されます。比較的手軽に買えそうなお手ごろ価格のモデルが勢ぞろい。新生活のスタートをきっかけに、AV視聴環境の充実化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

今回ソニーが発表した新製品は以下の通りです。価格と発売日もそれぞれお知らせします。

7.1ch AVアンプ「STR-DH790」 / 6月16日発売 / 44,500円(税別)

  • ソニー「STR-DH790」

    7.1ch対応のサラウンドAVアンプ「STR-DH790」

7.1chぶんのパワーアンプを搭載したサラウンド対応のAVアンプです。高さ方向の音成分を収録した「オブジェクトベース」のサラウンド音声フォーマット「Dolby Atmos」や「DTS:X」の再生に対応しています。4K/HDR映像信号をHDMIケーブルで接続したUltra HDブルーレイプレーヤーから本機を介して4K/HDR対応のテレビに送り出せるパススルー出力機能も備えました。

  • ソニー「STR-DH790」

    HDMI端子は4入力/1出力。すぐ隣にUSB給電用端子があります

  • ソニー「STR-DH790」

    自動音場補正用のマイクを同梱

サラウンド再生を楽しめるAV機器をそろえれば、ケーブルでつなぐだけでも音は出せますが、それだけでは心地よいサラウンド感を得ることはできません。ソファなどに座った視聴位置からスピーカーまでの距離をはじめとする部屋の音響特性を測って、アンプの「鳴らし方」を最適な設定値に調整する必要があります。

  • ソニー「STR-DH790」

    底面シャーシにXエンボスデザインを採用して剛性を高めています

この面倒な儀式を手軽に、わずか30秒で素速くセットアップしてくれるというソニー独自の自動音場補正機能「アドバンストD.C.A.C.」が本機には搭載されています。専用のマイクを本体に装着して、自動音場補正のメニューをさっと走らせるだけで、家族で暮らすリビングから一人住まいのワンルームまで、映画館なみの迫力あふれるシアタールームに早変わりします。

5.1ch AVアンプ「STR-DH590」 / 4月21日発売 / 33,500円(税別)

ソニーの5.1chサラウンド再生に対応するAVアンプの入門機。4K/HDR信号のHDMIパススルー出力や、最適なサラウンド環境のオートセットアップ機能の簡易版である「D.C.A.C.」を搭載しています。

  • ソニー「STR-DH590」

    5.1ch対応の「STR-DH590」

  • ソニー「STR-DH590」

    STR-DH590の背面。HDMI端子の数は上位機と一緒

  • ソニー「STR-DH590」

    STR-DH590に付属するリモコン。AVアンプもBluetooth対応

できるだけシンプルにシアター環境を

DH790とDH590ともに5万円を切るお手ごろ価格を実現したAVアンプです。これなら多くのフレッシュマンの方々にとっても、初任給で手が届く実感があるのでは? でも、残念ながらリビングにテレビとアンプだけがあってもサラウンド再生は楽しめません。プレーヤー, スピーカーまで一気にそろえようとすると、瞬く間に出費もかさみます。わが家で楽しむホームシアターがまた遠い夢と……。

まずはテレビとアンプを中心に、できるだけシンプルにシアター環境をそろえる方法を考えてみましょう。

映画や音楽ライブなどのコンテンツは、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどの定額制インターネット配信サービスを選んでみてはいかがでしょうか。インターネット接続ができて、各サービスへ簡単にアクセスできるスマートテレビをお持ちなら、HDMIケーブルで接続すればプレーヤーの代わりになります。

またはグーグルのChromecastやアマゾンのFire TV Stickなど、HDMI接続のスティック型端末をプレーヤーとして位置付けるのもおすすめ。DH790・DH590はともに、本体背面に並べたHDMI端子のとなりに給電専用のUSB端子を搭載しているので、HDMIスティック型端末の給電用にも役立つでしょう。

スピーカーはキモ

何よりハードルが高く感じられてしまうのは、スピーカーかもしれません。確かにいきなりサブウーファーを含む複数のスピーカーをセットでそろえるには、予算だけでなく場所の確保がマスト。至難のワザです。

そこで注目したいのは、DH790とDH590が搭載する、フロント×2本のスピーカーだけでリアルなサラウンド感を味わえる「S-Force PROフロントサラウンド」の機能です。スピーカーが2本だけあれば、気軽にサラウンドが楽しめます。どうでしょう、グッと身近になった気がしませんか?

はじめは自宅に、または実家にあるスピーカーを活用してもいいでしょう。そのうちボーナスが出たら好みのスピーカーに買いかえたり、本格サラウンドを楽しむためのスピーカーセットを買い足せばよいのです。

ちなみに5.1chのマルチスピーカーをそろえて、さらに本格的なDolby Atmosに対応する立体音響再生の環境を整えたくなったら?

イネーブルドスピーカー「SS-CSE」

  • ソニー「SS-CSE」

    Dolby Atmos再生用のイネーブルドスピーカー「SS-CSE」

同じくソニーから、天井反射を利用するオブジェクトオーディオ用のイネーブルドスピーカー「SS-CSE」も4月21日に発売されます。価格はペアで24,500円(税別)です。

上記のDH790とDH590という2つのAVアンプは、お手ごろ価格でありながら、音質にもソニーならではのこだわりをぎゅっと詰め込んでいます。デジタル系回路は基板と一体成形のメタルフレームに配置。きょう体の不要な振動に由来するノイズを徹底的に排除しています。

パワーアンプも耐ノイズ性能を高めて広帯域再生を実現。つまり、ピュアな音を破綻なく鳴らせる余裕を十分に備えているということです。底面シャーシにはXエンボスデザインを採用して剛性を高めました。底板全体の強度が増したことで、空気の通り道となる孔の面積も広げられるようになりました。これによって、本体内部の熱を逃がしやすくなったので、音質向上にも寄与する安定動作が可能になるわけです。

以上がソニーの入門向けAVアンプの最新情報になります。続いて、DH790・DH590とよく似たきょう体を採用するステレオアンプの新製品をご紹介しましょう。

ステレオアンプ「STR-DH190」 / 4月21日発売 / 22,500円(税別)

  • ソニー「STR-DH190」

    AVアンプと同じデザインのステレオアンプ「STR-DH190」

STR-DH190は、きょう体サイズやデザインが同時発表のAVアンプと似たステレオアンプです。2chのアナログ音声入力に特化した仕様で、ビデオ信号のスイッチャー機能も搭載していません。その代わりに、アナログレコードプレーヤーをつないで音楽を聴いたり、スマホやタブレットに保存した音楽をBluetooth経由で楽しむ用途に最適化されています。BluetoothオーディオはAAC/SBCのコーデックに対応しました。

  • ソニー「STR-DH190」

    シンプルな背面端子

本体にはMMカートリッジ対応のフォノイコライザーアンプと、専用の音声入力端子が搭載されています。アナログレコードに収録されている音楽信号は微小なため、フォノイコライザーアンプを使って増幅する必要があります。

CDやBDプレーヤーから出力される音とバランスが異なっているので、ディスクの音源を再生するときのボリューム設定のまま、アナログレコードをかけるのはよくありません。音量が小さすぎます。反対に、アナログレコードを聴いたあとにディスク音源を再生する場合は、ボリューム設定をそのままにした状態では爆音が鳴ってしまうのです。

  • ソニー「STR-DH190」

    リモコンにはBluetoothやフォノ出力の選択ボタンを搭載

DH190にはレコードプレーヤー用のフォノ入力端子について、0~6dBの範囲でレベル調整したあとに固定できる「フォノボリュームオフセット」の機能が搭載されています。よって、面倒な手動によるボリューム切り替えが不要です。

本体背面には2系統のスピーカー出力を設けています。広帯域再生に対応したアンプ、剛性を高めたシャーシなどは、同時期発売のAVアンプと共通のハイライトです。コストパフォーマンスを考えれば、見逃すことのできないオーディオ入門機。STR-DH190を中心に、話題のアナログレコード再生環境を構築してみるのもよさそうです。