最高のドーナツ体験の提供を維持できるか

一連の施策を見ると、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパンが再成長に向けて多方面から取り組み努力してきたことがわかるだろう。

先々の店舗数は数年で倍増近いイメージだ。販売先も店舗のみにこだわらない。メニューも食事としてのドーナツを提案していく。

気がかりなのは、一気に変わろうとし過ぎているようにも見えることだ。同社の店舗はすべて直営。つまり、店舗ごとに社員の配置が不可欠となる。そのために人材も獲得していかなければならない。人材育成についても、属人的な育成方法から脱却したとはいえ時間がかかるはずだ。

若月社長は発表会の席上で「最高のドーナツ体験を多くの人に」という言葉を何度も繰り返しており、これをないがしろにして出店を進めるつもりはまったくないと断言する。

その言葉を信じるならば、問題はなさそうだが、掲げた目標に近づくには、スピード感も無視できない。大きな成長を遂げるために、理念とスピードのバランスをどう保つかが課題となりそうだ。