新店舗はどこにできるか
第2創業期の仕上げが、2018年度からの再成長である。これまでに築き上げた商品力とサービスをベースに、新規出店、新業態としてテイクアウト専門店の展開ほか小売販売の本格化を通じて、タッチポイントの拡大を図り、存在感を増したい考えだ。
冒頭にも述べたが、2018年度は10-20店のオープンを予定(テイクアウト店含む)している。先々については「当面の店舗数目標については定めていないが、2019年度以降も2ケタの出店を継続していきたい」としている。現在、同社は関東・東海・関西を中心に46店舗あり、ここに数十店舗が加わるならば、2年で2倍近くになることもありえる。いかにチャレンジングな取り組みかわかるはずだ。
では、出店先はどうなるのか。過去に閉店したエリアへ再進出するのか。若月社長の発言から察すると、現在、注力する関東・東海・関西の大都市圏が中心となりそうだ。エリアを絞ってドミナント的な出店戦略を展開していくと見られる。
客席を減らす
新規出店でもうひとつ注目したいのは店舗デザインだ。画一的だった店舗デザインを改め、郊外、都市と立地に応じたデザインを取り入れる。郊外型はファミリー層が楽しめる施設やスペース作りを行い、都市型は客席数を減らす。
「客席を減らす?」とお思いかもしれないが、間違いではない。従来は他のファストフード店にならい、客席数をいかに増やすかを重視してきた。しかし、店内を観察すると、どうやらそれが最適解でないことがわかってきたのだ。
特に2人掛けの対面式の客席。お客の向かいにあるのは、その人の荷物。客席は埋まっているがお客の数は想定よりも少ない。そうした店内の現状を目にし、ダイニングテーブルを店内に取り入れることにした。結果的に客席数は減っている。減った分のスペースを居心地の良い空間作りに費やしたほうがいいという結論に至ったわけだ。
これは何も仮説ではなく、実際に関西の店舗で検証した結果を踏まえてのことであり、客席を減らしたほうがトータルの客数が増え、売上も伸びたという。
旗艦店となる有楽町イトシア店、渋谷シネタワー店では客席数は従来比で約2割減。くつろげる空間を創出。内装に木目調のデザイントーンを採用するなど、店内での過ごす時間のイメージは大きく変わりそうだ。
また、旗艦店では限定メニューが提供されることが発表された。スイーツのドーナツとしてではなく、食事としてのドーナツ「ドーナツ キッシュ」「ドーナツ バーガー」といった新メニューも出していくようだ。