東京・六本木。上杉や朽木、一柳といった「木」のつく大名の屋敷が6棟あったからその名がついたとも、6本の松の木があったからともいわれている。

つまり、江戸時代にはすでにあった土地であるが、当時はほぼ何もないところだったといわれている。

それから、およそ400年、六本木は東京を代表する繁華街になった。とくに1980年代、いわゆるバブル期には若者が娯楽を求めて、数多く集まってくる街となった。そこから生まれる文化やファッションは、社会現象ともいえるようなものだった。

ただ、バブル期特有のわい雑さも体現していた。電話ボックスやガードレールには怪しげなチラシが貼られ、始発が過ぎても飲み歩く若者やサラリーマンが横行していた。活気はあったけれども、お世辞にもキレイな街とはいえなかった。

巨大なランドマークが街を変える

六本木を代表する、いや東京屈指のランドマーク、六本木ヒルズ

だが、バブルがはじけ、2000年代に入ると、様相が少しずつ変わってくる。そのきっかけのひとつとなったのが、2003年にオープンした六本木ヒルズだろう。高感度なショッピングができる商業施設、グルメをうならせるレストラン、映画館や展望台、そしてオフィスやレジデンスを備える、東京を代表する複合ビルとして誕生した。

六本木ヒルズの登場によって、言葉は悪いが“飲み屋街”からファッショナブルでビジネスパーソンが集う街となった。

たとえば、六本木ヒルズには、デベロッパーである森ビルのほか、ゴールドマン・サックス・グループやアップル、グーグル、フェラーリジャパン、バイドゥといったそうそうたる企業が入居している。これは、首都高を挟んだ北側にある東京ミッドタウンも同じで、三井不動産はもちろん、ナイキジャパン、コカコーラボトラーズなどが入居している。以前はヤフーも東京ミッドタウンに居を構えていた。