Maxim Integratedは11月20日(米国時間)、ICデバイスの電気的特性のバラつきを利用した物理的複製防止機能(Physically Unclonable Function:PUF)を実装した「ChipDNA技術」を採用することで、クローンデバイスの作製を困難としたしたセキュリティIC「DS28E38」を発表した。
Maximのマイクロ、セキュリティおよびソフトウェア製品事業部 バイスプレジデントであるDon Loomis(ドン・ルーミス)氏は、「暗号鍵をどのように保護するべきか。そもそも存在しなければ、鍵を盗むことはできない。ChipDNAを活用すれば、必要なときに回路がデバイスごとの固有の鍵を作成し、不要になれば鍵が消える。電気的な進入型攻撃を受けた場合、攻撃により電気的特性が変化するため、鍵が変化し、進入を防ぐことができつつ、鍵の管理を簡略化できる」とそのメリットを説明する。
また、ChipDNA回路はプロセス、電圧、温度、および経年にわたる高信頼性もすでに実証済みであるほか、NIST(アメリカ国立標準技術研究所)ベースのランダム性テストスイートでのPUF出力評価にも適合済であるという。
なお、すでに同製品はピンTDFNパッケージ(3mm×3mm)にて、単価0.83ドル(1000個以上、FOB USA)で提供が開始されているほか、評価キットも65.00ドルで提供済みであり、同社では消耗品や産業用コントローラ、医療機器、ケーブル、コンピュータシステムといったさまざまな分野での海賊版防止用途に活用できることから、IoTの浸透に伴って生じる可能性が高まるネットワークの脆弱性を塞ぐ一助になるとしている。
また、同製品以外にも、ChipDNA技術そのものについて、サードパーティに対してライセンスを提供する用意があるとしており、より幅広い分野での活用も模索していきたいとしている。