iPhoneが大型化する中で、「画面の大きな、iPhoneと同じ操作性で利用できる端末」としてのiPadの存在価値は薄れてしまった。そこで、2016年3月にiPad Pro 9.7インチを登場させる際に、iPadには新しいミッションが課せられた。それは「PCの代替」だ。
iPad Pro 9.7インチモデルを発表したワールドワイドマーケティング担当上級副社長フィル・シラー氏は、5年以上経過した6億台のPCの買い替え需要を狙っていくことを、iPad Proの役割として明言した。その役割は10.5インチに大型化されたiPad Proに引き継がれている。
そして、今回のiOS 11から感じられるメッセージはこうだ。
「クリエイティブプロやアプリ開発以外の、家庭やビジネスでのコンピューティングは、全てiPad Proに任せられる」。
iPad ProがApple Pencilに対応し、イラストレーターやグラフィックアーティストたちがこの組み合わせに関心を示した。多くの人々が、その反応の良さや使い勝手に手応えを感じていたが、その次に聞かれたのは、普段使っているアプリやワークフローが対応していないというものだった。
WindowsやMacベースでワークフローを組み立てている人たちにとって、iPad Proが登場した当初は、アプリがなかったり、データのやりとりができないため、メインの道具として取り入れることが難しい、という反応があった。しかし、ビジネスや家庭でPCやMacを使っている人たちにとっては、Microsoft OfficeやApple iWork、Dropbox、Boxなどのビジネスアプリが揃っており、EvernoteやTwitter、Facebookなどの定番アプリも問題なく活用できる状況下にすでにあったし、データも含めて、プラットホームをiPadへ移行する障壁は、極めて低くなっているという現状もある。