ソニー独自のデジタルノイズキャンセリング機能を搭載するBluetoothヘッドホン「MDR-1000X」が約1年のときを経てリニューアルされた。早速、リニューアル後の新機種「WH-1000XM2」を、旧モデルMDR-1000Xのユーザーである筆者がチェックしてみた。
WH-1000XM2とMDR-1000X、新旧比較を敢行
2016年秋に発売されたMDR-1000Xは、消音性能だけでなく音質にもこだわって開発したという独自のデジタルノイズキャンセリング機能を搭載。Bluetooth接続時もハイレゾ相当の情報量をワイヤレスで伝送できる高音質コーデック「LDAC」に対応したほか、付属ケーブルをつなげばワイヤードのハイレゾヘッドホンとしても楽しめるという、いわばソニー史上最強の"全部入り"ヘッドホンだった。右側のイヤーカップがタッチセンサー式のコントローラーになっていて、耳を手で覆うようなジェスチャーをすると一時的に外音が取り込める「クイックアテンションモード」など、斬新な操作も周囲に自慢したくなるポイントだ。
そのMDR-1000Xを愛用する筆者は、お気に入りのヘッドホンがわずか1年でリニューアルされてしまうことを知ってから、心がざわついて仕方がない。とにかく、新モデルの実力を一度は試してみないと気が済まないと思っていたところに、レビューの機会を得たというわけだ。この際なので、新モデルが「買い」なのかどうか、じっくりと見定めたいと思う。
デザインはほぼ変わらず。ノイズキャンセリング性能は?
今回は1000Xシリーズの象徴とも言える"明るい方"のカラーをお借りした。現行モデルでは「グレーベージュ」と呼ばれているが、最新モデルでは「シャンパンゴールド」に名前が変わっている。実機を並べてみると色合いやデザインはほとんど変わらない。メタルパーツの輝き感も一緒だ。ただイヤーカップの周辺に目を凝らせば差分が見つかる。MDR-1000Xはつるつるとしたフラットなサーフェスだったのに対して、WH-1000XM2では革のような、あるいは目の粗い紙のようなシボ加工が施されている。
操作に影響するところだと、左イヤーカップ側面に配置されていたノイズキャンセリング機能のON/OFFボタンが、新モデルではアンビエントサウンドの切り替えボタンにひとまとめになった。イヤーパッドのクッション感、ヘッドバンドの側圧など装着感は新旧モデルで差を感じなかった。
イヤーカップの内側と外側にマイクを乗せた「デュアルノイズセンサーテクノロジー」により、機能のONにしたときの自然なシフト感、邪魔なノイズ音だけグンと消してくれる強力な効果は健在。MDR-1000Xで完成の域に達した実力がそのまま継承されていた。
ひと言加えておくと、1000Xシリーズのノイズキャンセリングは、機械のモーター音など持続して鳴り続ける低音ノイズだけでなく、人の声の帯域にあたるミッドレンジに対しても自然にかかるので、カフェなどで聴こえる話し声や、街の喧噪に対する消音性能がとても高い。筆者もよく屋外のカフェなどで集中して原稿を書くとき、耳栓代わりに活用している。