こうして提携を発表した両社だが、実は以前にも提携の話があったことを植木氏は明かす。2010年、日本に就航したハワイアン航空が最初に声をかけたのがJALだったという。だが、折しもJALは2010年1月に会社更生法の適用を申請、経営破綻の渦中にあったことで提携を断念。ハワイアンは2012年からANAと提携するに至った。

2010年にはJALの経営破綻により流れた提携話が改めて実を結んだ

それではなぜ、ハワイアンは改めてJALと提携するのか。その理由としてダンカリー氏は、ANAが加盟するスターアライアンスのパートナーであるユナイテッド航空の存在を挙げ、「ANAはユナイテッドとの共同事業があり、ハワイアンは思うほど近づけなかった」と振り返る。

JALもワンワールドに加盟しており、アメリカン航空と共同事業を展開している。しかし日本=ハワイ路線においてはパートナーシップがない。既存のアライアンスには加盟していないハワイアンとしては、ハワイ路線でJALと組める状況、ひいては高い競争力に繋がるという判断を下したわけだ。なお、ANAと航空の提携は、2018年3月に解消する予定となっている。

こうして提携に至ったJAL・ハワイアン連合だが、当面はそのANAへの対抗が課題となる。ANAは2019年春に、総2階建ての超大型機「A380」を東京=ホノルル線へ3機投入する。座席数は500席以上で、ファーストクラスも設定する。ウミガメの特別塗装も公募で決めた。

A380の導入は日本の航空会社として初めてで、「ハワイ旅行でA380に乗ってみたい」という旅行客へのアピール効果は絶大だろう。直接的な対抗について、両社は「A380を購入する検討はまったくしていない」(植木氏)、「次世代ワイドボディも検討しているが、A330が最適な機体だと考えている」(ダンカリー氏)と否定する。

JAL・ハワイアン航空ともにA380の導入は明確に否定した

輸送力そのものは、両社の合算で座席数が上回るとみられるほか、機材の優位性についても「日本=ハワイ間の1日7便すべてを、SKY SUITE仕様の機材で運航する。年末年始には成田=ホノルル便にファーストクラスもあるフラグシップの777-300ERを投入する」(植木氏)、「すべての路線にA330-200を配備した。フルフラットは18席、エクストラ・コンフォート席も多数ある。機内食は有名シェフとコラボした」(ダンカリー氏)と強調する。

日本だけでなくアジア路線を含めた共同事業も検討する

今後は日本=ハワイ間だけでなく、その先にJALとハワイアン航空が見据える、アジア=ハワイ間での共同事業との相乗効果にも注目したい。