格安スマホでも「安心」が欠かせない要素に

このようにトーンモバイルは、格安スマホでありながら単に料金が安いだけでなく、独自のサービスを加えることで差別化を図っている。Androidのホーム画面を使いやすくしたり、位置情報を利用した見守りサービスを開発したりと、ソフトウェア面での工夫が目立つ。

子ども向けスマホでは、ママ世代を読者に持つ女性誌「VERY」とともに、「小学生のスマホ利用を夜10時まで」と宣言。スマホ会社が「スマホを使えなくする」 機能を打ち出したことが、話題を呼んだ。

開発したソフトウェアの横展開も進める。たとえば、子ども向けには親子でスマホの使い方を決め、専用の用紙に記入し、アプリ撮影するとその通りに設定される機能を提供した。これをシニア向けには初期設定用の機能として打ち出した。

専用の用紙をアプリで撮影すると、スマホの設定に反映される

ママ世代の信頼を得たトーンモバイルが提案するのが、子どもやシニアにスマホを渡す「贈りスマホ」だ。携帯電話の契約は複雑で、販売店によっては高齢者に不要なオプションを契約させるなどの問題も起きている。だがトーンモバイルは月額1000円と分かりやすい。

ママ世代から子ども、シニア層にスマホを「贈る」

ハードウェア面では、最新端末の「TONE m17」が富士通製であることも強みになりそうだ。シニア向けスマホの代名詞といえばドコモの「らくらくホン」シリーズだが、主に端末を作っているのは富士通なのだ。耐久性などの特徴を受け継いでいるのはもちろん、誰もが知っている安心の国産ブランドでもある。

まだまだ格安スマホには、大手キャリアのような手厚いサポートがない代わりに料金が安いというイメージが強い。だが一般層にも急速に普及するいま、格安スマホにも安心感は求められる。一見すると相反する「格安」と「安心」だが、独自技術でそれを両立させるのがトーンモバイルの狙いだ。