東京商工リサーチはこのほど、2017年3月期の有価証券報告書をもとに、1億円以上の役員報酬を受け取った役員に関する最終まとめを公表した。役員報酬を分析すると、いくつかの傾向が見えてくるようだ。
東京商工リサーチがまとめたところによると、役員報酬の最高額はソフトバンクグループのニケシュ・アローラ元副社長の103億4600万円となり、過去最高額を更新した。
トップ5はすべて外国人。2位はソフトバンクグループのロナルド・フィッシャー副会長で24億2700万円、3位はソニーのマイケル・リントン元執行役で11億4000万円、4位が日産自動車のカルロス・ゴーン会長で10億9800万円、5位が武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長で10億4800万円。日本人最高額はソニーの平井一夫社長で9億1400万円だった。
役員報酬1億円以上の個別開示制度は2010年3月期から開始しており、今回で8回目。2017年3月期決算では221社、457人が該当し、社数、人数ともに過去最多となった。また、社数、人数ともに2010年3月期から増加傾向にあるとしている。
役員報酬の内訳は、基本報酬が主軸となり、賞与やストックオプション、業績連動報酬などの報酬体系に移行しつつあり、業績連動のない退職慰労金制度を廃止する企業が増えていると東京商工リサーチは分析している。
見えてくるいくつかの傾向
ほかにもいくつかの傾向があるようだ。まず、業暦の長い企業ほど役員報酬が多かったことだ。業暦50年以上が144社で全体の65%を占め、該当者人数も323人と同70%を占めた。
次に、従業員平均給与が高い企業ほど個別開示の人数が多く、平均給与が低いほど個別開示の人数が少なくなる傾向にあった。600万円台が50社で最多、次いで700万円台が49社、800万円台が35社と続いた。
業種別では、製造業が122社で全体の55.2%を占めた。次いで運輸・情報通信業で19社(8.6%)、卸売業が18社(8.1%)と続いた。企業別で最多だったのは三菱電機で22人、次いで伊藤忠商事が11人、ファナック、ソニー、パナソニックの3社が10人だった。