ネットアップは6月29日、都内で事業戦略発表会を開き、ハイパーコンバージドインフラ製品「NetApp HCI」と、シスコとのコンバージドインフラ製品「FlexPod SF」を発表した。NettApp HCIは8月下旬から見積もり開始、10月下旬より受注開始、FlexPod SFは7月10日に受注開始をそれぞれ予定している。

NetApp HCIは、同社のオールフラッシュストレージ「SolidFire」がベースで、2RU4ノード、ハイパーバイザーはVMware vSphere ESXとなる。今後は市場の動向を睨みつつ、KVMやOpenStackなどにも対応していくという。同社は、小規模構成からスタートし、ニーズに合わせた拡張を可能とし、即応性に優れたスケールアウトができるとしている。さらに、コンピューティングとストレージの個別拡張が可能なことから、余分なオーバーヘッドコストの削減につなげられ、わかりやすいUIの導入エンジンにより、400以上の入力項目を30未満に削減しており、導入から30分で運用を開始できるとした。

「NetApp HCI」の外観

「NetApp HCI」の基本構成

ニーズに合わせた拡張が可能

個別拡張も可能

一方、FlexPod SFはIaaSやPaaS、SaaS、ITaaSといった運用方法の変化や柔軟な消費モデルを備える次世代データセンター向けの製品。 ネットアップ 常務執行役員CTOの近藤正孝氏は同製品について、「ストレージノードはソリッドファイア製の『SF9608』となり、Cisco C220 M4シャーシ、8×960GB SSD、10GE iSCSI、4ノードクラスタが最小構成で30万IOPS、実効容量は60TBで1ノード(7万5000IOPS、実効容量15TB)ずつの増設が可能だ。コンピュートはCisco UCS Bシリーズ M4ブレードサーバ、UCS 6300または6200シリーズファブリックインターコネクトに接続し、ネットワークはNexus 9000シリーズスイッチをサポートしており、帯域幅は3.6Tbpsとなる」と、説明した。

「FlexPod SF」の概要

近藤氏は「われわれはHCIに関しては後発だが、先行している製品から学んだことを反映させた。具体的には、例えばHCIをVDI用途に限れば問題はないが、そこにデータベースやERPなどを入れようとするとパフォーマンスが落ちる場合があり、アプリケーションを統合するときに注意を払わなければならない。また、ストレージだけを拡張したい際にメモリなども一緒に拡張されてしまうため柔軟性が確保できない。さらに、データの同期や他システムとの連携などはサーバやアプリケーションを経由しているため、効率的ではない」と述べた。

2020年に向けたネットアップの戦略とは

ネットアップ 専務執行役員の中山泰宏氏は、昨今のデジタルトランスフォーメーション(DX)の状況を鑑みて「昨今、IT部門に限らずビジネスを根本から変えなければならない状況となっている。これまではハードウェアとソフトウェアを中心にITは拡大してきたが、これからは多様なデータが中心になっていくのではないかと考えている。しかし、データはサイロ化しており、個々の連携が難しく、DXに取り組むにあたり、阻害要因となっている。われわれが提唱しているデータ管理のビジョン『データファブリック』は可視化と洞察、アクセスと制御、保護とセキュリティで対応することにより、顧客の課題を解決できると信じている」と、語った。

同氏は「今年から日本法人独自で2020年に向けた新たなビジョンを策定した。それは『顧客のDXを支えるためにTrusted Data Management Company(信頼されるデータマネージメントの会社)になる』ということだ。ハイブリッドクラウド環境における顧客の課題をデータを中心に率先して提案を行い、DXを支援する」と、目標を述べた。

2020年に向けたネットアップのビジョン

具体的には「顧客中心の組織構成、最適なポートフォリオ、変革を加速の3つに取り組む。顧客中心の組織構成ではライトタッチモデル、ソリューション別営業、最適なポートフォリオに関してはNetApp HCI、クラウド製品の拡充、変革についてはソリューションアーキテクト部を設けている」と中山氏は話しており、これら3つの施策により目標を達成していく考えだ。

3つの戦略に取り組む