ソフトバンクは6月20日、都内で第37回定時株主総会を開催した。営業利益が1兆円を超えるなど好調な同社だが、株主からはどのように評価されているのだろうか。

孫社長はちょっとお疲れ気味

株主総会は2016年6月から2017年5月にかけてのソフトバンクグループの主な活動実績を紹介するビデオから始まり、その後孫正義社長が登壇して今後の課題や活動方針についてプレゼンテーション、質疑応答を挟んで議決する、という流れで行われた。

いつもバイタリティに満ちた孫社長だが、この日はやや精気に欠けて疲れたような表情をしており、プレゼンの最中に何度も咳き込んでいた。どうも風邪をひいて熱のある悪コンディションだったようだが、本人は「風邪はひいていますが心の中は明るく、やる気に満ちています」と元気さをアピールしていた。

孫正義社長

今後の方針についてのプレゼンでは、2004年の株主総会の様子がビデオで流された。この年はネットバブルがはじけた後で、3年連続で赤字が続いており、赤字額も1,000億円を超えるどん底の状況だったが、株主の一人が「今後のソフトバンクについて孫さんらしいホラを聞かせて欲しい」と質問したところ、孫社長は「売り上げでなく利益が1兆円、2兆円と数えられるような会社にする」と回答。そして2016年度はついに営業利益が1兆円を超えて、このホラを実現してしまったわけだ。

2004年に「ホラ話」を披露する孫社長。今年は孫社長が風邪をひいていたこともあって、非常に若々しく見える

また、常々尊敬する人物として坂本龍馬を挙げる孫社長は、今年が坂本龍馬の生誕150周年であることを紹介、龍馬の言葉である「日本を今一度せんたくいたし候」をもじった「世界を洗濯致し候」をスローガンとし、志を高くして経営にあたりたいとした。

龍馬好きな孫社長らしいスローガン

その他の内容としては、3月に買収したARMがいかに今後のIoT時代に重要であるか、また先日買収したボストンダイナミクスのロボットがいかに優れており、「スマートロボット」を実現する上で重要か、ソフトバンク・ビジョン・ファンド経由で出資したOneWebの通信技術の重要性や、GUARDANT HEALTH社の血中DNA解析技術でいかにガンの早期発見が可能になるか、といった紹介に終始していた。

Googleから買い取ったボストンダイナミクスのロボットたちのデモ映像も。高度な運動能力を持ったロボットが単純労働を担う時代もそう遠くはなさそうだ

低軌道衛星で世界中に通信網を構築しようというOneWebにも出資済み。途上国にも200Mbps級のネットワークを敷設できるという

血中DNAの解析で早期ガンの検出を可能にするGUARDANTの新技術。かつて不治の病だったガンも、早期治療技術の発達により、もはや「治る」病気になりつつある

プレゼンの最後に孫社長は「今日は風邪をこじらせて熱もあるが、大きな夢や志があるときは苦にならない」「人生が楽しくて仕方がない、引退なんてしていられない」とし、今後も先頭に立って経営に努めることをアピールしていた。