続いての株主は「東芝の買収について、ソフトバンクは直接関係しないという話だったが、間接的に関わることはあるのか」という質問が。孫社長は「直接関わる気は無いが、パートナーが関わりたいと言っている場合、何らかの形で関わることがあるかもしれない。ただしそれはパートナーが考えることで、ソフトバンクが重要なところに関わることはない」と明言した。以前の決算発表でもコモディティであるメモリーに投資するのは得策ではないと語っており、その方針は変わらないようだ。

最後の質問者からは「孫社長は60歳引退を撤回したのでまだまだやるようだが、今後人工知能が人間の能力をはるかに超え、20年先はどれだけ高性能になっているかわからない。後継者を人工知能に据える考えはあるか?」という質問が。孫社長は苦笑しつつ「そこは生身の人間に後継者になってほしいと思っている。人工知能の能力は上がっていくが、人間の集団を率いて人間に貢献するのは生身の人間になってほしい」と語った。

質疑応答の後、4つの議案がすべて了承され、株主総会は終了。最後に新しく選出された取締役が登壇して挨拶し、閉幕した。

新取締役の一人、ARMのサイモン・シガースCEOも登壇。新任の取締役5人はいずれも錚々たるメンバーだ

前年2016年の株主総会は参加者が2,191人、質問は15人から20問寄せられ、トータルで2時間51分の長丁場となった。これに対して2017年は参加者はほぼ同数の2,189名ながら、質問は12人から12問、全体の長さも1時間53分で終了と、ほぼ3分の2にまで短縮された。全体としてソフトバンクの業績が好調なこともあって、孫社長の回答後に寄せられた拍手には株主の友好的な反応が強く感じられた。この好調を今後も維持していけるのか、唯一の不安材料として残る後継者問題と合わせて今後も注目したい。