iPadをゲームプラットホームとして活用し、新たな目的を見つける。そんな戦略を採る上で、1つ見逃せない、解決すべきポイントがある。それはインターフェイスだ。iPadやiPhoneでゲームをプレーする上での大きな障害は、操作性の悪さだ。タッチディスプレイや加速度センサーによる操作は簡単ではあるが、例えばRPGのドラゴンクエストをiPhoneで操作するときですら、ファミコン時代のコントローラーが恋しくなる。タッチディスプレイでの操作は、コントローラーよりも自由度は高いが、正確性やゲームへの集中度合いは失われている。

コントローラーの操作性を改善しない限り、iPadがゲームプラットホームとして優れた存在にはなり得ない。もちろん今現在でも、Bluetooth接続のコントローラーが存在しており、Apple Storeの店頭でも購入することができるが、もう少し案内が必要な部分も感じる。

そしてもう一つはVR対応だ。

Facebookが買収したOculusは、600ドルのOculus Riftを発売しているが、MacやiPadをサポートしていない。また、ソニーのPlayStation VRも、当然iPadをサポートすることは将来的にもないだろう。そのため、Appleは、自社で、あるいはパートナーとなる企業とともに、Mac、iPhone、そしてiPadで利用できるVR環境を整えなければならない。

Appleのコンピューティングのトレンドに対する「不完全性」を取り除く意味でも、AppleによるVR対応は欠かせない要素となる。もちろんこれは、スマートフォンの次のプラットホームと目される拡張現実(AR)とは別に、取り組まなければならないだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura