ゲーミングPCはパソコンであるため、iPadの文脈よりもMacの文脈での話が適当かもしれない。Macにとっても、ゲームは弱い分野だ。そもそもの台数が少ないこともあり、有力なゲームがMacでプレーできないこと、またゲーミングPCのような振り切った性能のマシンを用意できていない点なども、MacがゲーミングPCのマーケットに参加できていない理由と言える。

その点で、iPadの方が、ゲームという土俵で勝負する上では適確なプレイヤーといえる。低迷しているとは言え、Macの2~3倍規模の販売台数で推移しており、iPhoneと共有するApp Storeには、膨大な数のユーザーが存在している。これはゲーム開発者にとって魅力的な開発環境であると言えよう。

A9Xを搭載するiPad Proは、4Kビデオを3ストリーム同時に流しながら編集できるだけのグラフィックス性能を備えている。もし2017年に新モデルが登場するなら、A10 Fusionの性能強化版が採用されることが期待でき、複雑な3DやVRにも耐えうるグラフィックス性能を誇るデバイスとなる可能性が高い。

ユーザー数と性能強化を背景にして、iPadを、より有力なゲームプラットホームへ育てるのは、iPadの風向きを変える有力な、数少ない手段になる。 このことは、iPhoneにとっても良いことだ。iPadが有力なゲームプラットホームとして活用されるようになると、当然、iPhoneでもそのゲームを楽しむ要素が提供できるようになり、またiPhoneからiPadへ、ゲームの文脈でユーザーが拡がることにもつながる。

スーパーマリオラン

App Storeを含むサービス部門の成長を持続させたいAppleは、2016年、ポケモンGOとスーパーマリオランという2つの任天堂タイトルによって、ゲームによる爆発的な成長を経験済みだ。このパワーをApp Storeの売上の成長だけでなく、デバイス販売にも生かしたいと考えるなら、その対象は自然と、低迷しているiPadに向くはずだ。