強いデザインとは

デザインチームでは、1,000枚ほどのスケッチを作成。その過程で多彩なアイデアが出たという。アイデアが出そろうと、今度は引き算の作業に移った。奥山氏は「日本の伝統文化にある、必要最低限のものが凝縮された美しさを目指した。引いて引いて引いて、これ 以上は引けないというレベルまで削ぎ落とした後に残ったものが洗練ということだと思う」と。

デザインチームは1,000枚ものスケッチを描いた。まずは様々なアイデアを出し、そこから削ぎ落としていった

このようにデザインを洗練する一方で、強いデザインも追い求めた。「ヨーロッパで、強い商業デザインについて学んだ。それは遠くから見ても『あの製品だ』と分かるということ。GTは5メートル先から見ても、あの時計だ、と分かるデザインにしたかった」(奥山氏)。

背面の様子。セイコーのクロノグラフ・ムーブメント「キャリバー 8R48」を採用している

金属の研磨にもこだわり

奥山氏のこだわりは、金属の磨きにも込められている。「磨きは金属の魅力を極限まで上げる、極めて重要な技術。GTには精度の高い、職人の手作業によるザラツ研磨を採用した。セイコーの社内でも最高峰といえる、この研磨技術が全面に押し出てくるデザインにした。これは日本でこそ実現できる職人技。この本物の素晴らしさを、世界中の皆さまに味わってもらいたい」(奥山氏)と言葉に力を込めた。

GTの特徴まとめ。最高級の磨きの技術を採り入れた