『シン・ゴジラ』や『君の名は。』など大ヒット作が次々に誕生した2016年の日本映画界。そんな中、異例のヒットとなったのが、片渕須直監督が漫画家こうの史代のコミックを原作としたアニメ『この世界の片隅に』だ。本作は、単館系作品ながらSNSなどでの口コミが広がり、異例のロングランヒット、興行収入は25億円を突破したという。社会現象にもなったこの大ヒットを支えたのが、クラウドファンディングである。
クラウドファンディングとは、映画やアニメ、音楽、出版などのコンテンツ制作において、インターネットを使い、制作費や協力を募るサービスのこと。プラットフォーム数は国内外に大小多数存在しており、『この世界の片隅に』は、国内最大級のクラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」で7000万円もの資金調達に成功した。果たして出資を集める秘策とは?
先日、映像産業振興機構(VIPO)主催のセミナーにて、Makuake代表の中山亮太郎氏が講演を行った。
お礼は他では得られないモノや体験
中山氏曰く「クラウドファンディングは先行予約販売型プラットフォーム。Amazonで先行予約をしている感覚に近い」。たとえ開始投資はニッチなプロジェクトでも、支援者それぞれの“熱”がどんどん拡散し、トップ・オブ・トップになっていく現象は日本特有のものなのだという。
クラウドファンディングには「購入型」「貸付型」「寄付型」「株式型」の4種類があり、『この世界の片隅に』は購入型にあたる。支援したい金額のコースを選び、その額に応じて設定されたお礼=リターンを受け取る仕組みだ。