市場調査企業の米Gartnerは1月18日(米国時間)、2016年半導体企業業績調査(速報値)に基づき世界半導体売上高ランキング・トップ10を発表した。

トップは25年間にわたってその座を守り続けている米Intel。データセンター向けMPUが好調で、前年比4.5%の成長を遂げ、半導体の世界市場で約16%と最大のシェアを確保している。2位は15年間にわたって、その地位を維持してきたSamsung Electronics。3D-NANDフラッシュメモリのトップランナーとして、前年比6.1%の成長を遂げ、世界市場でのシェアは約12%である。

3位はQualcommで、スマートフォン(スマホ)市場の成長鈍化の影響から4.5%のマイナス成長となったものの、2015年に3位だったSK Hynixが、それを上回る業績悪化による2桁のマイナス成長となった結果、順位を1つ上げて3位となった。Qualcommは、2016年に発表したNXP Semiconductors買収で、スマホから車載・IoTへの転身を図ろうとしており、3位の地位を固めるだろう。

SK Hynicxは、同社の主力製品であるDRAMが2016年前半に最安値を付けて低迷した影響をもろに受けた。昨年は、DRAM、NANDフラッシュともに供給過剰による価格低下で始まったため、すべての市場調査企業が2016年の半導体市場はマイナス成長と予測したが、後半は、メモリが供給不足に陥った結果、価格が上昇に転じ、中でもNANDはデータセンター向けだけではなくノートPC向け需要も増加したほか、スマートフォンへの搭載容量も増えた。そのため、NAND専業の東芝は、通年では大きくプラス成長となったが、伝統的にDRAMに力を入れてきたSK HynixやMicron Technologyはマイナス成長から脱せなかった。とはいえSK Hynixは今年、昨年より続くメモリ価格の高騰を受け、業績が回復することが期待される。

5位に入ったのは、Broadcom(Avago Tchnologiesが旧Broadcomを買収して、企業名をBroadcomに改名した)で、順位を11位あげてのランクイン。同社はM&Aにより、トップ25社の中で順位を最も上げた点が注目される。また、NXPが前年比で40%成長を遂げ、順位も2015年の12位から9位へと上げたのは、2015年末のFreescale Semiconductor買収によるものとなる。

なお、2016年の世界半導体市場規模は3397億ドルで、前年(3348億ドル)比で1.5%のプラス成長となった。また、11位以下の半導体企業の売上高総計は、前年比で5.8%減のマイナス成長となった一方、トップ25社の売上高合計は、半導体市場全体の76%を占め、7.9%のプラス成長を遂げており、大手企業同士のM&Aやスケールメリット効果で、大手企業の売り上げが増加する一方で、中堅以下の企業の売り上げが低下している様子がうかがえる。

表 2016年世界半導体企業売上高ランキング・トップ10(速報値)。表の左から、2016年順位、2015年順位、企業名、2016年売上高(百万ドル)、2015年市場占有率(%)、2015年売上高(百万ドル)、2016年の対前年比売上高増減率(%) (出所:Gartner, 2017.1.)

ちなみに、別の半導体市場調査企業である米IC Insightsは2016年11月に早々と2016年世界半導体売上高ランキング予測(ファウンドリーも含む)を発表していたが、これと比較すると、各社の順位はほとんど同じだが、BroadcomとSK Hynixが入れ替わっている。2016年末に向けたDRAMおよびNAND価格高騰が予測を上回り、SK Hynixの業績が急回復したためであろう。なお、世界半導体市場売上高の確定値の発表は3~4月ごろになる見込みである。