また、外山氏はこうも付け加えた。「多くの方が渋滞は事故や工事が引き起こすものと思っておられるかもしれませんが、平成27年の1年間に関東支社管内で発生した渋滞の約8割が交通集中によるもの、いわゆる自然渋滞です。ちなみに、事故渋滞は約15%、工事渋滞は約2%でした。このデータが示すことは、ドライバーの意識次第で渋滞を大きく減らせるチャンスがあるということです」と話す。

速度低下が自然渋滞を引き起こす

さらに、自然渋滞の6割以上が「サグ」「上り坂」が原因だとした。はて、上り坂は文字どおりなのでわかる。だが「サグ」とは一体何なのだろうか。外山氏によると「下り坂から上り坂にさしかかる場所、いわゆる“凹状”の坂道」のことだという。

「坂を下って上り坂にさしかかると、それに気づかないドライバーが多いのです。ドライバーによっては速度低下を起こしてしまい、後続車との車間距離が縮まります。そして後続車は車間を保つためにブレーキをかけ、さらにその後続車がブレーキをかけます……この連鎖が自然渋滞を引き起こすのです」(外山氏)。

NEXCO東日本管内では、高坂SAが「サグ」で渋滞しやすい

NEXCO東日本の高速道路では、約95%が関東支社管内で発生しているが、「サグ」による渋滞で有名なのが高坂サービスエリア付近だそうだ。「サービスエリアからの合流など、『サグ』だけではなく複合的な要因」(外山氏)としながらも、渋滞のもっとも起きやすい箇所のひとつとして高坂SA付近を挙げた。ちなみにNEXCO中日本管轄だと、小仏トンネルの「サグ」が有名だが、確かにこの両エリアは頻繁に渋滞になっているイメージがある。

こうした渋滞を少しでも緩和するために渋滞予報士が存在しているわけだ。ただ、同じ予報士だが、気象予報士とはかなり性格が異なるらしい。気象予報士の場合、「今日は傘が必要」「コートを用意しましょう」と促し、それを聞いた人が実際に傘をもって出かけたりコートを着たりしても予報した天気に影響を与えることはない。

だが、渋滞予報士の場合は、「いつ」「どこで」「どれくらいの」渋滞が起こるのか予測することで、ドライバーの行動が変化するため、実際の渋滞の起こり方に影響が出てくるのだ。

「渋滞予測は、天気予報とは異なり100%の的中を目指すものではありません。渋滞予測により渋滞が減れば、結果的に予測は外れたことになりますが、当初の目的は達成されたことになります。とはいえ、あまり当たらないと信用してもらえなくなることが悩ましいところです。そこがこの仕事のジレンマといえるでしょう」と外山氏は苦笑いをこぼす。