日本エイサーは2016年10月15日、スポンサーシップを結んでいるプロサッカークラブ「FC東京」と協力し、PC活用能力の向上を目的にした「日本エイサー プレゼンツ FC東京U-18選手向けPC勉強会」を、FC東京 小平グラウンド ミーティングルームで開催した。

公益社団法人 日本プロサッカーリーグは、プロサッカー選手のセカンドキャリアに対する意識強化と啓蒙を目的とし、2004年からJリーグの現役選手を対象にインターンシップ(職場体験実習)を実施している。プロスポーツ選手が生涯現役でいることは難しく、Jリーガーも引退後は新たな世界にチャレンジしなければならず、社会人としてのマナーやスキルを求められるからだ。

今回のPC勉強会も、そうした流れの中に位置する。対象は、プロサッカークラブ「FC東京」の下部組織・FC東京U-18に所属する選手だ。日本エイサー プロダクトセールス&マーケティング本部 マーコム&マーケティング マーケティングPR 安藤康夫氏は、勉強会を開催するきっかけとして次のように述べている。

日本エイサー プロダクトセールス&マーケティング本部 マーコム&マーケティング マーケティングPR 安藤康夫氏

元々は、Windows XPサポート終了に伴うFC東京側のPC買い換えと、海外進出という目標も相まって、アジア方面に強い日本エイサーに話が持ち込まれた。日本エイサー側も、今までリーチできていない顧客への訴求を踏まえて、FC東京のスポンサーに名を連ねている。

安藤氏自身も、FC東京ユニフォームの実費購入にはじまり、10口以上のクラブサポートメンバー「ビッグフレームス」に個人で参画している熱心なFC東京サポーターだ。今回、フリーライターの甲斐寿憲氏がとあるメディアに寄稿した記事に注目し、若者がPCを使う好機として本勉強会を開催した。

「学生を対象に調査したところ、自宅にタブレットがあるから十分。もしくは親の(所有する)PCを使えばよいという意見が多数だった。しかし、実際は自分で所有しないと使いこなせない。(自身も体育系だからこそ)PCに対する苦労は理解できるが、触ってみることから始めてほしい」(甲斐氏)。

フリーライター 甲斐寿憲氏

FC東京U-18は、15歳~18歳の所属選手で構成される。暗くしたミーティングルームの中で映し出されるスライドに顔を向けてはいたものの、トレーニング後というタイミングもあってか、集中力は高くないように見えた。だが、安藤氏が「PCが使えないという状況」を言い換え、「海外のクラブに移籍しても現地の言葉を話せないなど、コミュニケーションに必要な能力が足りない」と話すと、選手たちの表情も変わり始めた。

安藤氏は改めて、イタリアのプロサッカーリーグ、セリエAのACミランに所属する本田圭佑選手をはじめとして、現役時代からビジネス展開を行っている例を紹介。10代の若い選手たちに対して、「プロサッカー選手を引退した後の将来像」を強く持つことを語りかけた。

スライドでは、プロサッカー選手向けにグラフチャートやサーモグラフィチャートを交えたPC活用方法、Excelによる試合結果の得失点差計算などを披露

また、FC東京(前身の東京ガスフットボールクラブを含めて)一筋でプレーし、現在はFC東京 強化部・スカウト部に所属する浅利悟氏も登壇。PCが使えない苦労を次のように語っている。はじめに「プロ選手を引退して、朝から晩まで机に座るのが一番つらい」(浅利氏)と述べると、ようやくFC東京U-18の所属選手たちにも笑みがあふれるようになった。

FC東京 強化部・スカウト部 浅利悟氏

引退した浅利氏が最初に所属したのはFC東京 広報部だが、そこで初めてPCを触ったそうだ。感想として、「キーボードには慣れたが、触らないと使い方を忘れてしまう。サッカーと一緒で継続してやらないと身に付かない」(浅利氏)と、早い時期からPCに触れておけばよかったと振り返った。

勉強会の後半は、日本エイサー製のPCを使った簡単な使い方講座。FC東京U-18の所属選手たちが、インターネットで自身の名前を検索して、顔写真を見つけるというPC操作だ。勉強会の始まりこそ嫌そうな雰囲気もあったが、全員参加となると場がこなれたせいか、雑談を交えながらPCを操作する場面が増えた。

筆者が横から観察していると、キーボード入力こそおぼつかないが、ディスプレイのタッチ操作はスマートフォンと同じ感覚でお手のもの。スクロールやピンチイン・アウトといった操作は堂に入(い)っていた。途中、スライドに映し出されたPCで、FC東京U-18コーチ陣の写真を拡大させるなど、若者らしい楽しみ方(?)に場が和む。

キーボードの操作は苦手な様子だが、タッチ操作はスムーズに行うFC東京U-18の所属選手たち。さすがはデジタルネイティブ世代だ

そのほかにも、U-18監督の生年月日をインターネットから探し出すテスト、FC東京公式サイト内に掲載されている安藤氏の名前を探し出すといった、遊び心あふれたクイズも出された。選手たちはトレーニング後の疲れもあったはずだが、いつの間にか楽しそうにPCの画面に向かっていた。

PCを操作した感想を吉村寿輝選手(18歳)に訪ねると、「学校の授業で使っていたので(検索などの操作は)戸惑うことはなかったが、普段はスマートフォンを使うため、キーボードには慣れなかった」(吉村選手)とのこと。「PCを使えたほうが便利なので、Excelやキータイプを上達させて、世の中に出て行ければいいと思う」(吉村選手)と、素直な感想を聞かせてくれた。

若者たちの将来がどうなるかは分からない。だが、「これから5年~10年後に『PCを使える』といえる社会人になってほしい」(安藤氏)とするように、社会人が持つべきスキルの1つとして、PCのプライオリティは高い。今回の勉強会を通じて、FC東京U-18所属選手の中に何らかの化学反応が起きたはずだ。

阿久津良和(Cactus)