他方、AppleがiPhone向けに用意している「ヘルスケア」(Health)アプリでは、iOS 10になり、「アクティビティ」「栄養」「マインドフルネス」「睡眠」の4つのカテゴリにバナーがついて、アクセスしやすくなった。

アクティビティは、iPhoneで取得する歩数データからApple Watchや他社のアクティビティトラッカーで計測するワークアウトのデータが収集できるが、それ以外のカテゴリで収集できるデータは限られている。

マインドフルネスは、Apple Watch向けwatchOS 3で導入した「呼吸」の習慣が記録できるほか、マインドフルネス+アクティビティトラッカーを束ねた「Spire」と呼ばれる製品も、呼吸によるマインドフルネスの測定を実現している。

睡眠については、UP by Jawbone以来、アクティビティトラッカーの人気がある機能の1つとなっており、Apple Watch向けにも「Sleep++」などのアプリがある。また、iPhoneの「時計」アプリには「ベッドタイム」と呼ばれる睡眠計測が可能なアラームクロック機能が用意された。

難しいのは栄養で、食べたものの栄養をどのように計測するか、そして無理ない習慣とするかは、まだ決定打が身近にない。

ただ、ここまで用意したからには、Appleとしても、それぞれのカテゴリに対してなんらかの「記録・測定方法」を提案してくることが考えられる。 iOS 10のうちに全てのピースが埋まることに期待しておこう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura