Bluetooth(ブルートゥース)といえば、多くの電子機器に採用されている近距離無線通信規格。その仕様はBluetooth SIGという業界団体によりアップデートされ、最新規格は対応するICの流通にあわせて広まります。最新の「Bluetooth 6.0」は、2025年夏以降多くのスマートフォンやデジタルガジェットでサポートされる見込みです。

Bluetooth 6.0では、スマートフォンや忘れ物防止タグなどのBluetooth LE/BLE対応デバイスが存在を示すための通信(アドバタイズ通信)が大きく改善されます。これまでBLEでは、電波の受信強度(RSSI)を利用してデバイス間の距離を推定していたため、壁による反射など周囲の環境に精度が左右されるという難点がありましたが、新技術の導入によりその精度が大幅に向上します。

新しく導入される「Bluetoothチャネルサウンディング」では、位相ベース測距(Phase-Based Ranging、PBR)とラウンドトリッップタイム(RTT)という2つの手法を利用し、デバイス間の信号伝達時間や位相の変化を測定、その情報から正確な距離や方向を求めることが可能になります。

具体的なメリットとしては、iPhoneなどApple製品の「探す」やAndroidの「Googleデバイスを探す」など、対象機器を検出する精度の向上が挙げられます。紛失したワイヤレスイヤホンなどBLE対応デバイスを探しやすくなるほか、自動車のロック解除など距離情報に基づいた機能のセキュリティ強化が期待されます。

Bluetooth 6.0ではオーディオ品質も向上します。Isochronous Adaptation Layer(ISOAL)が改良され、データ分割の時間を省略することが可能になり、従来より低遅延でオーディオ信号を送信できるようになりました。従来は150マイクロ秒固定だった連続してパケットを送受信する間隔も変更可能になり、リアルタイム性が向上します。条件は使用するオーディオコーデック次第ですが、Bluetooth 6.0対応はこれからのワイヤレスイヤホン選びの基準の1つになるかもしれません。

  • もうすぐBluetooth 6.0対応製品が登場します