進化した「ターボライトテクノロジー」、ユーティリティ「Samsung Magician」

V-NANDフラッシュメモリの予備領域を高速バッファとして用いる「ターボライトテクノロジー」は、新たに「インテリジェント ターボライトテクノロジー」となった。基本的な仕組みは、2bit/3bit MLCのV-NANDを「SLC」として扱うことで、より高速な書き込みを実現するというものだ。詳細は省くとして、2bit/3bit MLCよりもSLCのほうが高速に書き込めるため、体感上のライト性能が向上する。なお、SLC領域に記録されたデータは、アイドル状態を見計らって通常の2bit/3bit MLC領域に移動される。

960 PROと960 EVOのインテリジェント ターボライトテクノロジーでは、高速バッファとして用いる容量がアップした。従来モデルのSamsung SSD 850 EVO(2.5インチSATA)と新モデルの960 EVOで高速バッファ容量を比較すると、250GBモデルで3GBから13GBに、500GBモデルで6GBから22GBに、1TBモデルで12GBから42GBへと、大きく増えている。これにより、大半の書き込みが高速バッファの容量内に収まるので、ほぼ常時、高速な書き込みを保てるわけだ。

Samsung SSD 850 EVO(下のグラフ)と、新モデルの960 EVO(上のグラフ)における、高速バッファ容量の比較

ユーティリティソフト「Samsung Magician」は、960 PROと960 EVOへの対応、UIのリニューアル、新機能の追加が図られた。新しい機能としては、SSDに記録されているファイルを完全削除する「Secure File Erase」、SSD容量の一部を使ってファイルをバックアップ(暗号化&パスワード保護)する「Magic Vault」などがある。

Samsung Magicianの新UI

SSDのステータス表示

Secure File Erase

Magic Vault

ちなみに、展示会場には多彩なSSDが並んでいたが、多くは既存の製品。ただその中でも、BGAパッケージで1円玉サイズの「PM971」と、エンタープライズ向けに近い将来リリースされそうなZ-NAND採用「Z-SSD(SZ985)」が目についた。

BGA SSD「PM971」

Z-NANDがどういうものなのか、現時点では不明だが、SSDとDRAMの間にあるパフォーマンスのギャップを大きく縮小できるようだ。写真のスライドは、Samsung SSD Global Summit 2016でのプレゼンテーションから。プレゼンターは、韓国サムスン・エレクトロニクスのRyan Smith氏(Director/SSI)