iPhone 7のカメラ

iPhone 7はカメラの進化にこだわりを感じる。レンズは35mm換算で28mmと広角寄り、新たな6群レンズは、これまでよりも明るいf1.8を実現する。これは、Galaxy S7 EdgeのF値1.7を除けば、スマホで最も明るい部類のレンズだ。暗いところでもより速いシャッタースピードを実現し、近い被写体にピントを合わせた際の背景のボケも大きくなる。

Appleは、画素数こそ1,200万画素に据え置いたが、より速い速度で信号を読み出すことができる新しいセンサーを搭載した。新たな画像処理エンジン(ISP)を搭載し、1,000億回の処理を0.25秒で行い、被写体やシーンに合わせた最適な露出やホワイトバランスなどを実現するそうだ。

ただ、操作はこれまでとなんら変わらず、ただシャッターボタンを切るだけだ。iPhone 7のカメラには、4.7インチモデルとして初めて、光学手ぶれ補正が組み込まれ、安定した撮影を楽しめる。もしも手ぶれ補正を理由にiPhone 6s Plusを選んでいたなら、より小さなiPhoneでも同じように強力な手ぶれ補正効果を体験できるようになる。

1点、レビューしている際に感じた問題点は、シャッターを押してから撮像までに、これまで以上に時間がかかる点だった。夕刻、踏切で長距離列車を撮影した際、ちょうど良いタイミングでボタンを押しても、得られた像は少し列車の先頭が通り過ぎてからになってしまった。

今後のアップデートでチューニングされるかもしれないが、心配な場合は、少し早めの段階からシャッターボタンを押しっぱなしにするバーストモードで対応しておくと良いだろう。

iPhone 7 Plusのデュアルカメラに関する考察

もしもカメラに少しでも興味があるなら、iPhone 7 Plusの虜になるだろう。

iPhone 7 Plusは、レンズが2つのデュアルカメラを搭載

簡単に例えると、一眼レフカメラで、手ぶれ補正付きの広角28mm / F値1.8の単焦点レンズと、同じく手ぶれ補正付きの中望遠56mm / F値2.8のレンズを持ち歩き、タップ1回でレンズ交換ができるのが、iPhone 7 Plusのカメラだ。画面に表示されている倍率をタップするとすぐに2倍に拡大され、そのボタンをスライドするとデジタルズームを併用してリニアに倍率を変更できる。

前者はスナップで汎用性が高く、後者はポートレートに最適。デジタルズームを使わなくても、多くの撮影シーンをカバーできる。特に望遠側のレンズは背景が美しくボケるし、マクロレンズとは言わないが被写体にせまる迫力ある写真を撮ることができる。デジタルズームを併用すると、静止画で10倍、Live Photosで6.7倍、動画撮影で6倍までズームすることが可能だ。

Appleによると、倍率を切り替えても、どちらかのカメラがオフになるわけではないとのこと。試しに、片方のカメラを隠してみると、面白いことが分かる。以下、試してみた結果だ。

  • 室内から明るい窓の外を写す際、望遠側を隠しながら2倍に切り替えると、プレビュー画面は黒くなる(何も表示されない)。広角側を隠すとプレビュー画面は露出過多で真っ白になる。望遠側を隠しながらでも10倍ズームまで可能。

  • 室内の被写体を写す際、望遠側を隠しながら2倍に切り替えても、プレビュー画面に変化はなく、撮影もされるが、隠していないときと比べて画像が荒れる。広角側を隠すと、プレビュー画面は赤くなる(指を通り抜けた光がセンサーに届いていると考えられる)。

この結果を考えると、2倍だからといって必ずしも2つ目のカメラを使っているわけではないようだ。また環境によっては、望遠側のカメラを主体とし、広角側のカメラで明るさを計測する仕組みになる。撮影する環境や被写体に応じて、2つのカメラの役割を変化させているようだ。

なお、2016年内に配信されるOSアップデートで、iPhone 7 Plusのカメラアプリにポートレートモードが追加される。望遠側のレンズを主体にし、被写体を立体的に捉え、被写体をくっきりと写しながら、背景のみをぼかす効果が作り出されるという。このDeep Effectと呼ばれる効果は、HDR撮影と同じように、設定によって元の画像と効果をかけた画像の双方を同時に保存してくれる。