A10 Fusionのベンチマーク
AppleはiPhone 7に、A10 Fusionと呼ばれる4コアの新プロセッサを投入した。iPhone 7には2GB、iPhone 7 Plusには3GBのメモリが搭載され、より大きなデータを扱うアプリやマルチタスク性能の向上が期待できる。
このプロセッサには、処理性能を最大限に引き出すパフォーマンスコア2つと、省電力性に特化した省電力コア(Efficiency Core)2つが搭載されている。A10も引き続きARM系のプロセッサであることから、省電力技術「big.LITTLE」が用いられていると思われる。
これにより、処理性能はiPhone 6sから40%向上している一方、バッテリー持続時間は日常的な利用において、iPhone 6sよりiPhone 7が2時間以上、iPhone 6s PlusよりiPhone 7 Plusが1時間以上、向上するとしている。
レビュー期間中もそのバッテリー持続時間の向上を体験することができ、iPhone 6s Plusでは夕方あたりに継ぎ足し充電をしていたが、iPhone 7では夜まで充電の心配をする事がなくなった。
手元にあるデバイスでGeekbench 4とGFX Bench GLでのベンチマークを試してみた。
iPhone 7 Plusは、Geekbench 4ではシングルコアで3364、マルチコアで5421となり、これまで最も高速に動作するiOSデバイスだったiPad Pro 12.9インチと比較しても15%近く高速だ。買い換え予定のユーザーも多いであろう、2年前のiPhone 6 Plusと比較すると2倍以上、昨年のiPhone 6s Plusと比較しても30%高速化されていることが確認できる。
しかしながらグラフィックス性能を測るGFX Bench GLでは、テスト結果がiPad Proと比較して半分程度と、大幅に低いか、テストによっては同等程度の値が限度だった。ベンチマークテストでその能力を測り切れていない可能性が高いが、手元のデバイスでの結果ということで、記録しておく。
なお、レビュー機にはiOS 10.0.1がインストールされており、SafariでのSunSpider JavaScript Benchmarkのテストでは、iPhone 7 / 7 Plusとも同等の性能を発揮し、前機種iPhone 6s / 6s Plusより15%程度高速化されていた。
iPhoneはこれまでも、iOSとのチューニングによって、スペック面では優れているAndroidスマートフォンよりも、日常の中で利用する際のストレスとなり得るアプリの起動や切り替えなどを高速にこなしてきた。
処理性能もさることながら、軽い処理を省電力コアに任せる新しいA10 Fusionは、ピークのスペック以上に、Appleが重視する実際の利用シーンでのパフォーマンスとバッテリー効率の両立を目指している。特に後者は、実際により長くバッテリーが持続できるという差を感じられた。