音声入力は実用的なレベル

発表会後、短い時間ではあったが、パナソニック「Strada CN F1D」の実機に触れる機会があった。自由に端末を接続できないなど、かなり限られた環境であったが、ファーストインプレッションをお届けする。同時に筆者の経験の範囲内で、iOSのCarPlayとの比較もしてみたい。

展示機の環境はNexus 5か5Xと思しき端末が接続された状態で、アプリとしてはAWAが追加インストールされている状態

Strada側はメニュー画面の下中央にある「Android Auto」を選択するとAndroid Autoの画面が表示される

ちなみにホーム画面はナビの現在地や時計、再生中の音楽などがカードとして表示される画面で、画面下のアイコンをタップして各機能を起動する

安全のためスマートフォン側の画面はロックされる、のだが、アプリ切り替え画面からホーム画面にあっさり戻れてしまった。このあたりの作り込みの甘さは少々心配だ。なおAWAのようにサードパーティに公開されている機能と重なる場合は、画面下のアイコンにプルダウンマークがついて複数のソースを選択できることが表示される(上の写真ではヘッドホンのアイコン)。個別のアプリのアイコンがホーム画面に並ぶCarPlayとどちらがわかりやすいかはユーザー次第だろうか

この時、たとえばStrada側でラジオや音楽を流していた場合、Android Auto側でほかの音楽などを流さない限り、Strada側の音楽ソースが優先される。逆にAndroid Auto側で音楽などを流しておき、ナビゲーションはStrada側のものを利用することも可能だ。ちなみにホンダ・インターナビでは各車の位置情報を送信して、インターナビ装備車による独自の混雑状況を配信しているのだが、こうした位置情報などのサービスはAndroid Auto利用中でもバックグラウンドで独自に収集しているとのことで、ナビゲーションシステムとAndroid Autoの間の独立性はかなり高く保たれているようだった。

インタフェースは、基本的に画面をタッチすることになるが、たとえばAudiのようにセンターコンソールにコントローラーが付いている車種の場合、このコントローラーで機能を選択/切り替えすることもできるようだ。音声入力についても画面右上のマイクボタンをタップしてから話しかけるが、ステアリング上のスイッチを押して起動するといった設定もできるようで、このあたりはメーカー側の実装に大きく依存するようだ。通常、走行中はタッチパネルをロックして操作できないようにするのだが、Stradaについては少なくともマイクボタンだけは生きているようだった。

軽く各機能を触ってみたが、インタフェースの反応も悪くなく、機能が限られているぶん、迷うことなく使えるのはよかった。音声入力もGoogleの音声認識は実用レベルに十分達していることもあり、CarPlayのSiriを使った時よりもしっかり正確に認識してくれたので、走行中に目的地を入力したり、音楽を切り替えたいといったときも、大半の操作は音声だけで処理できそうだ。

走行中にメッセージを受信した場合、読み上げさせるほか、「現在運転中です」というメッセージをタップするだけで返すことができる。この辺りは気が利いているが、自動で返せるように設定できればさらに便利そうだ

Androidが持つ強み

前述したようにAndroid Autoの演算はすべてスマートフォン側で行われるため、動作速度はスマートフォンに依存することになる。展示されていたデモ機の速度は十分快適なものだったが、SIMフリーの安価な端末の場合、どれくらい反応が遅くなるかなど未知数な面もある(Lollipopが動作する端末なら、そこまで遅くはならないだろうが)。また、残念ながら見ていた30分ほどの間に2回、熱が原因と思われるフリーズと再起動が発生していた。夏場などダッシュボードや車内が熱くなる時期は置き場に気をつけたい。日本市場では登場したばかりということで若干割り引いて考えなければならないかもしれないが、安定性という面ではCarPlayに一日の長があるように感じた。

一方でCarPlayではナビゲーションに評判の悪いApple製マップ(だいぶ改善されてはいるが)を使わねばならず、地方などで目的地が見つからない、違うところに案内される、といったトラブルが未だに起きる。その点Android Autoは、情報量に定評のあるGoogle Mapが使えるので、ナビゲーションとしてはこちらがかなり優位であるように感じられた。その他のアプリの対応についてはどちらも音声系アプリのみの対応で大きな差はない。今の所、先に市場に出たCarPlayがやや対応アプリが多いものの、誤差といったところだろう。どちらが大きく引き離している、という感じではない。

現実的なところでは、各メーカーともAndroid Auto、CarPlayの両対応を目指すことになるだろう。そういう意味では、現時点で対応スマートフォンプラットフォームが限定されるAndroid Auto(またはCarPlay)対応製品を選ぶのは時期尚早という気もする。ユーザーとしては快適に使えさえすればどちらでもいいので、車載機メーカーに、1日も早く両対応で安価な製品の提供を期待したいところだ。