iOS・Androidデバイス向けの接続アプリを用意するなど、スマホとの親和性を重視したモデルだと判断し、試聴時のプレーヤーにはiPhone 6を使用。オンキヨーのハイレゾ再生アプリ「HF Player」で、ハイレゾ音源やCDから作成したFLAC 44.1kHz/16bitファイルを聴いた。

QuietComfort 35の音質は、まさしく美音という言葉がしっくりくるボーズらしいものだ。耳に心地よく聴き疲れしないサウンドで、たとえば、女性ボーカルは艶やかに、ピアノは透明感を持って美しく、弦楽器は芯のある伸びやかな音で、管楽器はきらびやかに、ドラムは適度に重くタイトにと、聴きどころをきっちり押さえた美しい音で再現する。

装着したところ

ただし、どのような曲でも美しく聴きやすい音にまとめてしまう傾向にあるので、歪ませたギターサウンドが要になるようなロックなどは、毒気が抜かれたような感じになり、いまひとつ合わない。また、良くも悪くも作り上げられた感のあるサウンドなので、楽器の音を正確に再現するモニター系のヘッドホンが好みの人には向かないかもしれない。本機を選ぶ際には、その点を考慮しておく必要があるだろう。

右ハウジングにボリュームや再生/一時停止を操作するボタンを装備

本体は折りたたみが可能。高級感あるキャリングケースが付属している

QuietComfort 35の魅力は何といっても高いノイズキャンセリング性能だ。このレベルのノイズ低減能力を有しているものはそうそうないと言えるだろう。サウンドは耳に心地よく聴き疲れしない音で、iPhoneと接続しても美音を堪能できる。まさに死角なしのヘッドホンだ。実勢価格は税込39,960円と、決してお手頃とは言えないが、高い性能や高級感のあるキャリングケースが付属していることを考えると、決して割高感はない。どんな場所でも音楽の世界に没頭したいという人なら、本機を購入して後悔することはないと思う。