メッセージアプリに関する2つの視点
こうした変化については2つの視点を考えることができる。
1つ目は、新興国でのiPhoneの優位性の向上だ。
メッセージアプリは先進国においては、最も占有時間の高いアプリの1つであると同時に、新興国においては「削除を免れるアプリ」となっている。価格が安いが少ないストレージしかスマートフォンが主流の新興国においては、空き容量対策で、アプリは消される傾向にある。しかしメッセージアプリは、コミュニケーションのため、削除されない可能性が高いのだ。
追加アプリを入れずに楽しめるメッセージアプリの競争力の向上は、iPhoneプラットホームの拡大やユーザーの定着、トレンドの生成に一躍買うのではないだろうか。
一部で、iMessageのAndroidサポートについて指摘されていたが、筆者は、今回のメッセージアプリの強化で、むしろ、その可能性は遠のいたのではないか、と考えている。
2つ目は、Snapchatの「次」を取りに行く、という狙いだ。
メッセージやソーシャルのアプリは、特に米国では、世代によって使うツールが違う。若者はSnapchatを楽しむが、親世代と同居することになるFacebookを避けるのだ。しかし、Snapchat世代が成長していくことで、その「次」が必要になる。アップルはメッセージアプリを、Snapchatの「次」として定着させようとしているのではないだろうか。
これらの狙いは、世界のメッセージアプリの覇権争いを狙うLINEにとっては、非常に大きな障壁となり得る。加えて、グーグルの新メッセージアプリAlloや、Facebookメッセンジャーにとっても、脅威を与えることになるだろう。