シャープにとって、ネイチャーテクノロジーの取り組みは、これからも継続的に行われることになりそうだ。

もともと社内提案制度の「シャープ・ドリーム・テクノロジー (SDT)」の認定プロジェクトとしてスタートしたネイチャーテクノロジーへの取り組みは、大塚部長が中心となって、順次、応用範囲を拡大。2013年7月には、ネイチャーテクノロジー推進プロジェクトチームとして約10人体制へと拡大。2015年4月には、ネイチャーテクノロジー開発室へと昇格し、2016年3月からは、要素技術開発部として、研究開発活動をさらに加速させているところだ。

「自然には無駄や無理がない。その合理性、効率性を見つめて、謙虚に学ぶのがネイチャーテクノロジーの基本姿勢。自然の摂理に学び、人の健康に役立ち、地球環境に貢献するモノづくりを目指す」とする。

シャープはいまから50年以上前に、太陽光発電の開発に着手したが、それは、シャープ創業者である早川徳次氏が「無限にある太陽熱や太陽光線で電気を起こす工夫をすれば、人類にどれだけ寄与するか、はかりしれないものがある」として、太陽光が持つ無尽蔵の力に着目したところから始まっている。

シャープが、自然の力を暮らしに採り入れて、それを技術や製品に活用するのは、いまに始まったものではないといえよう。そうした経験に加えて、学術的な観点から実証されている知見を、白物家電製品に幅広く活用しているのが、いま取り組んでいるネイチャーテクノロジーの特徴であり、いまやシャープの隠れたお家芸のひとつとなっている。

これからどんなネイチャーテクノロジーが活用されるかが楽しみだ。