2015年9月から発売したプラズマクラスタードライヤー「IB-HD65」にも、ネイチャーテクノロジーが利用されている。

IB-HD65のファンにはアマツバメの翼を応用。ファンから送り出される渦状の風向きを整えて、勢いのある高速ダイナミック風として送り出す「速乾エアロフォルム」を採用。従来比1.5倍の風圧によって、髪の根元まで風を届け、風量や熱だけに頼らない速乾力を実現している。

プラズマクラスタードライヤー「IB-HD65」

アマツバメの翼を応用したファン(右)を採用。左は従来のファン

きれいな髪を維持するために

同社の従来製品ではドライ時間が9.1分であったものが、同製品では4.4分へと約50%短縮した。濡れた髪は55℃以上の温度で、ケラチンの変性が始まり、それが続くとキューティクルの一部に乱れが見られるようになる。だが、同製品では、アマツバメの翼を利用した高速ダイナミック風によって、熱に頼らない乾かし方を実現。髪が受ける熱ストレスを抑制して、キューティクルに乱れを起こさず、きれいな髪を維持できるという。高い風圧でも、音を静かにすることができたのも、アマツバメの翼を応用した効果のひとつだ。さらに、プラズマクラスターイオンを放出することで、静電気を抑制。ブラッシングを滑らかにしたり、うるおい感、指通り感、まとまり感、そして、ツヤ感でも効果があるという。

お茶プレッソにもネイチャーテクノロジーを採用

シャープはこれまであまり公にしていなかったが、ヒット商品の「ヘルシオお茶プレッソ」にもネイチャーテクノロジーを採用している。お茶プレッソの「挽く」、「沸かす」、「点てる」という3つの機能のうち、「挽く」と「点てる」の部分に独自のネイチャーテクノロジーが使われているそうだ。

「挽く」という点では、1日150kgも草を食べるアジアゾウを参考にしたほか、アンモナイトの等角螺旋状に配置した模様を採用。お茶を挽く石臼の考え方をベースに螺旋状の溝を配置したセラミック平臼方式によって、茶葉を20ミクロンという細かい粉末に挽く。

ヒット商品となった「お茶プレッソ」

クルマエビの腹肢と尾扇を応用した撹拌羽根

アジアゾウの臼歯を参考に開発した臼

もうひとつの「点てる」という部分では、撹拌、泡立ての行程にクルマエビの生体を利用している。クルマエビは尾扇を使った高速後方移動を行うが、これを高速撹拌に活用。また、腹肢での前方への低速移動を行う動きを、ゆっくりとした泡立てに利用している。これにより、抹茶のように点てたり、ふんわりクリーミーな泡立てを実現したという。

太陽のメリットを活用した洗濯乾燥機

ヒートポンプドラム式洗濯乾燥機の「ぽかぽか・おひさま乾燥」機能には、これまで生物模倣と違って、「太陽」という自然を模倣した技術を採用している。

乾燥後に洗濯機から衣類を取り出したときの「ふんわり感」を高めるには、人が快適と感じる環境の気候に、衣類の温度と水分量をあわせればいいという発想をもとに取り組んだものだ。

ぽかぽか・おひさま乾燥技術を搭載したドラム式洗濯乾燥機「ES-Z210」

庫内をLEDで明るくすることで、おひさまを彷彿とさせる

扉部分にはひまわりの種の配列デザインで洗浄効果を高めた

人が快適と感じる環境として「海の日の軽井沢」を設定し、気温28度、湿度47%といったデータであることを算出。この「海の日の軽井沢」の数値にあわせるように、洗濯機の乾燥機能を制御したという。ちなみに、従来の洗濯機において、ヒーター式で乾燥させた場合には砂漠の気温と湿度、ヒートポンプ式では屋久島の温度と湿度に近いという。これでは、ふんわりと感じる環境に程遠いの明らかだ。

さらに、おひさまが当たっていることを彷彿とさせるように、ドラム庫内をLEDで光らせる機能も付け加えた。ここでは、おひさまは暖かいという経験が、乾燥させた衣類を取り出すときに、触覚にプラス影響を与え、使用者にふんわりとした感覚を持たせることができるという効果を利用したという。

同社の調査によると、「海の日の軽井沢」と「おひさま」効果により、95%以上の女性がその機能を持たない洗濯機で乾燥した衣類よりも、心地よさをと感じたという。太陽の光を浴びることで、交感神経と副交感神経を刺激するという仕組みを利用したものともいえよう。いわば、人と、太陽、気候との関係性からヒントを得たネイチャーテクノロジー応用例のひとつなのだ。