ゴミ捨ての機構も変更された。従来はゴミを溜めるクリアビンの下のレバーを引くことで底が開く構造だったが、V8はサイクロン部分を引き上げる動作と連動して底が開く仕組みに変更。このとき、「シュラウド」と呼ばれる網目に付着したゴミが、クリアビン上部のゴム製のスクレイパーと接触することでこそぎ落とされる。これにより、直接手を触れずに手入れできるのがうれしい。

新しいゴミ捨て機構の解説図。サイクロン部分をそのまま真上に引き上げると、その動きに連動してクリアビンの底が開く

実際にゴミ捨てを体験してみたところ。網目の部分に付着したゴミまで、手を触れることなくキレイにできるため、衛生的だ

このほか、ヘッドやノズルなどの付属ツールの装着部分を、より着脱しやすい設計に改良。これらの付属ツールは、排気部分の構造のみ若干変更されているが、基本的には従来のものを継承している。

ホースを外して付属パーツを取り付ければ、ハンディ掃除機としても使用可能。操作はダイソンならではのトリガー式

本体の内部構造。サイクロン部と排気側の2つのフィルターで、従来機種と同様に0.3μの微細な粒子を99.97%内部に捕らえ、クリーンな空気を保つ

排気側のフィルターは従来モデルよりも簡単に着脱可能で、排気のニオイもよりカットできているように感じた

ヘッドは従来どおり、カーペットに強い「ソフトローラークリーナーヘッド」(左)と、フローリングに強い「ダイレクトドライブクリーナーヘッド」(右)を採用。モデルによって両方、あるいはいずれかのヘッドを同梱している

「ソフトローラークリーナーヘッド」のカットモデル。ローラーの内部にモーターを備えることで幅いっぱい吸引できることと、ナイロンフェルトのローラーが大小さまざまなゴミを同時に捉えられるのが特長だ

V8シリーズの本体重量(パイプ・標準クリーナーヘッド装着時)は1.58kgで、V6の1.29kgよりも増加している。これは、バッテリーの直径を2mm増すなど若干大型化したことと、シュラウドの素材をステンレスに改良したことによるものだ。しかし、重心が手元側に集中した独自構造により、体験会では壁の高い位置を掃除する際にも手や肩などへの負担をさほど感じずに操作できた。

V6との比較。V8は上面に赤いレバー(ゴミ捨て用)が

10年を超える歳月と2億5,000万ポンド(約450億円)以上を投じて、デジタルモーターの開発に取り組んできたとするダイソン。V8に関しては、1年半にわたる研究開発と500,000時間に及ぶテストが繰り返されてきたという。

また、実際に行われている研究開発施設や試験設備、製造工場の様子を収めた映像も上映。グラント氏は「デジタルモーターは376台のロボットが組み立てている。これは最小製作公差±3ミクロンという髪の毛の直径の約4分の1もの精密さが求められるためであり、人間の手では不可能だからだ」と話した。

2011年から2015年までのダイソンのコードレススティッククリーナーの進化。モーターやヘッド、サイクロン部、バッテリー、排気の機構など数々の改良が重ねられてきた

同社スティック型コードレスクリーナーの販売占有率は年々増加。2016年1~4月は4割を超えたという

発表会で行われた吸引力の比較実験。真ん中のレーンはV8、左右のレーンは他メーカーの製品で掃除した。幅10mm、深さ5mmの溝が入ったアクリル板に、重曹90gと猫砂150gを散らし、強モードで同時にワンストローク通過させた

グラント氏は、シンガポールのオフィスから持参したV8のスケルトンモデルを披露。研究・開発の過程で、スケルトンモデルを使ったさまざまな観察や比較などを行っているという

工場でデジタルモーターがロボットにより組み立てられている様子

研究開発施設で行われている耐久性などの試験・実験の様子