auのComi Kumaとの違いは?
発表会の最後に質疑応答の時間がもうけられた。奇しくも前日、KDDIが同じコンセプトの製品「Comi Kuma」を発表している。ここくまとの違いを聞かれた横澤氏は「auさんのComi Kumaはスタンプで感情的な、より情緒的なことを伝える製品と理解している。ここくまは日常的な利便性を重視しており、“明日、何を買っていく?”といったメッセージをやり取りできる」と回答。その上で「ひとつの商品では高齢者問題を解決できないと思っており、様々なアプローチで製品・サービスが出ることは個人的には嬉しいこと。僕たちも磨き上げていく。早く良いものを届けたい」と話した。
販売目標について、イワヤの中野氏は「数年かけて10万台を販売したい」と答えた。またボイスメッセージが届く範囲について、MOOREdollのLeo Guo氏は「アプリをインストールした家族」とのこと。例えば、ここくまから送信された祖父母のメッセージを複数人の家族が聞ける、といった使い方が可能になるという。
なぜクマを選んだのか、という質問に横澤氏は「見た目のデザインに関しては当初、ロボットのようなメカっぽいもの、あるいは動物、また人の形をしたものも検討した。そこでアンケートをとったところ、機械は好きではない、人型は腹話術に見えてきて怖いという意見があった。また、犬や猫だと種類が多いし、かまれた、おしっこをされたなどネガティブな経験をお持ちの方もいらっしゃった。クマだとポジティブな意見が多く、ネガティブな意見が少なかった」と説明した。
SIMフリーになるのか、という質問にイワヤの中野氏は「検討中」。横澤氏は「ドコモの方だけに使ってもらうことは目指していない。日本中の方に使って欲しい。そこでドコモから販売するより、イワヤさんから出したほうがより多くの方に届くと思った」と補足説明した。
質疑応答でも触れられた通り、前日にはKDDIが”祖父母と孫のコミュニケーション”を活発にする、クマのぬいぐるみ型の製品「Comi Kuma」(コミクマ)を発表している。偶然が重なった形だが、ふたつの製品の違いはどのあたりにあるのだろうか。
まずスペックの違いに言及すると、Comi KumaはBluetoothでペアリングしたスマートフォンを介してインターネット通信を行う仕組みだったのに対し、ここくまはスタンドアローンで通信できる。またComi Kumaはぬいぐるみを抱きしめたり動かしたりすることで相手のスマートフォンにスタンプを送信するという使い方がメインとなるが、ここくまではボイスメッセージのやり取りに主眼を置いた。
では価格の違いは? Comi Kumaの価格は未定だが、本体以外にも月額料金が発生するここくまと比較すると、恐らくComi Kumaの方が安価で提供できるものと予想される。以上のことから、Comi Kumaではライト感覚での利用を想定しており、ここくまではより踏み込んだ利用を想定していると言えそうだ。