音質のチェックには、Astell&Kernの「AK120II」を使用。音源はハイレゾ音源に加え、CDから作成したFLAC(44.1kHz/16bit)ファイルを試聴した。なお、ノイズキャンセリング機能、オートキャリブレーション機能はともに有効にしている。

EVEREST ELITE 700は、そのスタイリッシュな外観とは裏腹に、昔ながらのJBLサウンドを思い起こすような音がする。そう、重心が低く独特の躍動感があるあの音、ジャズや泥くさいロック、ブルース、ソウルミュージックにピタリと合うあの音だ。

マイルス・ディビスの「Kind of Blue」(FLAC 192kHz/24bit)というアルバムを聴くと、地下室のジャスクラブやバーが思い起こされ、煙草とウイスキーの匂いがしてきそう気さえする。リズム隊の重心は低くそれでいて軽やかにうねり、管楽器の音が艶やかに鳴り響く。多くの人が「4ビートジャズ」と聞いて思い描くであろう、古き良き時代の正統的なジャズの音だ。

アメリカ南部の泥臭い音楽のエッセンスが詰め込まれたローリング・ストーンズの「メインストリートのならず者」(FLAC 192kHz/24bit)などのアルバムも当然よく合う。ボーカルやギターの再現能力に重きを置くのなら話は別だが、粘りと迫力のあるバンドサウンドをダイレクトに体感したいなら本機がオススメだ。

EVEREST ELITE 700を装着したところ

スモーキーな女性ボーカルもよい。ノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」(FLAC 192kHz/24bit)を聴くとまるで目の前で歌われているような実在感が出る。ボーカルは艶やかで濃密。スッキリ系の音を鳴らすヘッドホンでは感じられない色気を味わえる。

高解像度をウリにしたハイレゾ対応ヘッドホンと比較すると、解像度は若干甘め。高音の出も良いとはいえないが、躍動感があるのでポップス系の曲にもよく合う。ただし、透明感の再現が求められる曲は苦手だ。特に、高音の伸びが重要となるピアノ曲には向かないだろう。

まとめ

Bluetooth、ノイズキャンセリング、音質カスタマイズなど多くの機能を備えており、使い勝手においてはよくできたヘッドホンだ。音の傾向は「まさにJBLサウンド」という感じで、音楽のノリや迫力を重視したチューニングを施しているように思う。ゆえに、決して万人向けするタイプではないのだが、筆者のようにJBLのスピーカーを長年メインシステムに据えてきた人間にとっては、理解できる愛すべき音だ。