Parrot Zik 3というヘッドホンには、前述のとおりワイヤレス(Bluetooth)とワイヤード2種(3.5mmステレオミニとUSB)という計3種の接続経路がある。その中から自分好みのリスリングスタイルを選ぶことになるが、やはり基本は3.5mmステレオミニ。Bluetooth接続はコーデックの性能、USB接続はハウジング部に内蔵されたDACの性能に左右されるところが大きくなる上、接続できるデバイスが限られる。ヘッドホンの音質を決定づけるドライバーの性能や音響特性の傾向がわかりにくくなることもあり、やはり付加的な再生経路と考えるべきだろう。

そこでまず、オーソドックスにステレオミニケーブルを利用し、Astell&KernのポータブルDAP「AK Jr」でハイレゾ音源(PCM)を中心に試聴したときのインプレッションからお伝えしたい。

ワイヤードの場合、接続経路は3.5mmステレオミニ(左)とUSB Micro-B(右)の2系統がある

ハウジング周りの質感は高く、有線接続しても全体のデザインが崩れない

音の傾向をひと言で表現すると「堅実」になるだろうか。低域はやや強調傾向にあるものの、ネオジウム磁石を採用したドライバーの俊敏なレスポンスが手伝ってか、音像はボヤけない。ベースラインは不自然に膨らむこともなく引き締まり、小気味よさが印象に残る。中高域はヌケよく、さらに光沢感もある。ハイハットも不自然な残響音はなく、精細感高く聴かせる。特定のジャンルばかり得手にすることがない、いい意味でのオールラウンダーだ。

装着感は悪くない。形状としてはオンイヤーだが、筆者の場合外耳のほぼすべてがイヤーカップに収まったため、圧力を感じたのは耳珠(外耳道の入り口、顔側にある突起部分)くらいなもの。ただし、欧米市場をターゲットにしたヘッドホンにありがちな側圧の高さはある。強すぎるほどではないが、連続使用が1時間を超えたあたりから負担を覚えたことを告白しておく。