Parrot Zikシリーズは、専用スマートフォンアプリを利用して独自機能を呼び出す。本体のみでは設定できない機能もあるため、スマートフォンは必携と言っていいだろう。

そのひとつにノイズキャンセリングが挙げられる。内蔵の小型マイクにより周囲の雑音を計測、その逆位相信号を発して雑音を打ち消すというアクティブ方式により、高いノイズキャンセリング効果を実現する。内蔵マイクの本数は非公表だが「多数」とされており、約30dBのノイズ低減効果を実現するという。

このノイズキャンセリング機能はなかなか実用的だ。逆位相信号を発して雑音を打ち消す一般的な動作モードに加え、マイクで集めた音をオーディオ信号に重畳する「ストリートモード」を用意。装着時でもしっかり周囲の音を聴ける。もちろん、開放型のように音漏れの心配はないため、電車やバスでも安心して利用できる。実際、試聴中にインターホンが鳴る音に気づいて宅配便の再配達を免れたことで、この機能のありがたみを実感できた。

内蔵DSPの効果を実感できるオーディオエフェクト機能も使用できる。コンサートホールエフェクトでは、コンサートホール、ジャズクラブ、リビングルーム、サイレントルームという4つの音場効果を用意しており、スピーカーの位置を調整することで空間の広がり具合を調整できる。初代Parrot Zikから継続採用されている機能であり、操作性も共通だ。

専用アプリ「Parrot Zik」を利用して、ノイズキャンセリングのオン/オフやオーディオエフェクトの設定を行う

コンサートホールエフェクトは、コンサートホール、ジャズクラブ、リビングルーム、サイレントルームの4種類。スピーカーの位置は30度単位・6段階で調整可能だ

ノイズコントロールの画面。オレンジ色のリングをドラッグして、ノイズキャンセルとストリートモードを切り替える

前モデルの「Parrot Zik 2」同様、ハウジング部に内蔵されたタッチパネルで操作が可能だが、少々コツがいる。指を上下に動かせばボリュームの増減、左右に動かせば曲送り/戻しのはずだが、タップと認識され再生停止してしまうこと多数。筆者が不器用なのか、何度試しても思うように操作できない。タッチパネルの精度は良好だが、ボタンやダイヤルで操作するほうが自分向きだと痛感した。

このように機能の豊富さが際立つParrot Zik 3だが、やはり本質はオーディオヘッドホン。エスプリの効いたデザインや、アクティブノイズキャンセリング、タッチパネルといった機能面にばかり注目しがちだが、それらは付加機能であり"変化球"だ。試聴の機会があれば、40mm径ドライバーのレスポンスなど、音質面という"直球"部分にも目を向けてほしい。結構、ど真ん中にストライクが決まるのではないかと思う。