対象者にまだリーチできていない

中山亮太郎代表

Makuakeはこの状況をどう見ているのか。運営元のサイバーエージェント・クラウドファンディングの中山亮太郎代表がいくつかのポイントを挙げる。それを一言でまとめれば、"認知度の不足"だ。日本でものづくりをしたい人にクラウドファンディングがまだリーチしきれていないという。

同氏は、ものづくりのフェーズについて、「何かを作りたいけれど作れない人」、もしくは「作れるけれど前に踏み出せない人」、そして「ものづくりにむけて踏み出すことができている人」の3段階あると規定する。

その上で中山代表は「作れるけれど前に踏み出せない人が多い」と認識している。本当はこういった人がMakuakeを使えばいい。しかし、クラウドファンディングを知らない、自分が対象だと思っていない人が多く、「そうした人たちに対する働きかけが今の大きな課題。そういった層が活用できると思えば、日本中から面白いプロジェクトが集まり、多様性が生まれる"カンブリア紀"になる」と語る。

その言葉どおり、Makuakeでは「前に踏み出せない人」を積極的に探してサポートするスタンスだ。全国でクラウドファンディングのセミナーを開催し、現地の商工会議所や県庁をはじめとする自治体、地方銀行と組んで、地方の産業を盛り上げるという働きかけを行なっているという。

また、プロジェクトを開始する際に「キュレーター」と呼ばれる担当が1つのプロジェクトに対して1人つく。プロジェクトの発案者とともにプロジェクトの内容をブラッシュアップすることも多いという。「どんなプロダクトでも、特徴はどこかに隠れている」(中山氏)。社内で約10人のキュレーターたちが、そこをすくい上げていく形だ。

認知度という観点からはもう一つの課題を指摘する。それは"資金調達"という意味合いでしかクラウドファンディングが捉えられていない風潮があることだ。あくまでプロダクトジャンルに限ってのこととするが、中山氏は「言葉の意味からは仕方のないことかもしれないが、クラウドファンディングにはテストマーケティングとして活用されるケースも多くある。そのあたりの認知が不足している」と話す。

クラウドファンディングが資金調達に加え、テストマーケティング、プロモーションの役割を持つこともいかに認知されるかも不可欠なのだ。