2016年1月13日から15日まで、東京ビッグサイトにて開催されている自動車技術の展示会「オートモーティブ ワールド2016」にて、Xilinxの日本法人であるザイリンクスは先端プロセスである16nm FinFET+を用いた「Zynq UltraSCALE+ MPSoC」そのものの紹介や、同製品を活用したソリューションの紹介を行っている。

Zynq UltraSCALE+ MPSoCは、アプリケーションプロセッサとしてARM Cortex-A53(4コア)、リアルタイムプロセッサとしてARM Cortex-R5(2コア)、GPUとしてMali-400をそれぞれ搭載しつつ、ロジックセルも最大40万5000搭載した製品で、2015年10月より車載向けにサンプル出荷を開始している。

開発ボードを用いたデモは、プロセッサ部分の性能を示すもので、Maliによる3D描画、Cortex-R5によるリアルタイム処理、Cortex-A53による演算処理を同時に行っている様子を見ることができる。

「Zynq UltraSCALE+ MPSoC」の型番「ZU9EG」を搭載した開発ボード「ZCU102」と、それを用いたデモの様子。ヒートシンクが無いところがある意味のポイントで、この程度のデモであれば、ちょっと指で触る程度であれば、熱い、と思う程度の発熱で済んでいる

一方、そうしたZynqを活用したデモとしては、ラジコンに前世代となるZynq-7000を搭載し、カメラで撮像した物体の距離推定を行い、しきい値を超えると、そこから先に走行できないようにするといったリアルタイム処理のデモと、同じラジコンに搭載された別の4つのカメラからの画像をサラウンドビューとして表示するといったものがブース正面にて見ることができる。

Zynq-7000と5つのカメラを搭載したラジコン。中央のカメラが対物検知を行っており、それ以外の4つがサラウンドビューを担う形となっている。対物検知は、物体に対し、ある一定の距離まで近づくと、スロットルを全開にしても、それ以上、進むことができない制御が施されている

こちらは、Xylonが開発したlogiADAK3.1 車載用運転支援キットと、XilinxのZynq-7000搭載ボード「ZC706」などを組み合わせたデモであり、実際に走行データを録画して、それを再生し、アルゴリズムのチューニングをしたい、といったニーズでの活用も進められているという。

対物検知用カメラから見た風景。それぞれの物体ごとに距離が表示され、ある一定の値を超えた場合、それ以上の進行ができないようになっている

5カメラに対応していることを示すモニタ画像

なお、次世代ADASへの取り組みについて同社は、最近、日本の企業も徐々にその体制を強化してきており、先行する欧州などへのキャッチアップが進みつつあるとの見方を示しており、今後の日本市場での積極的なアプローチを行っていきたいとしている。