進化し続ける青、オシアナス・ブルー
オシアナス・ブルーには、特定の調色、つまり「厳密な色指定」はあるのだろうか。
藤原氏「一貫したイメージはあります。が、厳密に決められたものではなく、印刷で扱うロゴのように具体的な色指定の数値もありません。というのも、OCEANUSには、スリムでエレガントなManta、先進性のGPSモデル、飽きのこない実用性のクラシックラインという3つのカテゴリーがあります。それぞれキャラクターが違うので、イメージカラーもそれに伴って変わります。
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OCW-G1100(写真左)と、Manta OCW-S3400(写真右)。写真ではわかりにくいが、ブルーの方向性の違いが良く出ている。ぜひ店頭で確認してみてほしい |
また、マリンスポーツの青、都会の夜の海を思わせるアーバンな青、成層圏の青など、モデルごとのコンセプトによっても、イメージする青が異なってきます。いわば、オシアナス・ブルーはキービジュアルで、それがOCEANUSの世界を包括しているのです。OCEANUSらしい品格や品位を守ることは重要ですが、あまりにも厳密に色を決めてしまうと、そういった世界観の広がりを制限してしまうことにもなりかねません。それは避けたい。
世界限定500本などの生産本数が少ない限定モデルでは、ブルーセラミックのベゼルを使ったり、青をぐっと緑に寄せるなど、かなり冒険的なデザインに挑戦したりもします。逆に、秒針の再結晶サファイア軸などは、OCW-G1000では限定モデルのみの仕様でしたが、OCW-G1100では通常モデルのデザインに採り入れました」
オシアナス・ブルーは、こうして確実に世界観を広げている。
藤原氏「金属への着色技術は、まだまだ進化発展していくはずです。今よりもっとキレイに輝く、画期的なオシアナス・ブルーができるかもしれません。そのタイミングで使える最善の素材と技術で、そのモデルに最適な、もっとも美しい青。それがオシアナス・ブルーなのです」
最後に、オシアナス・ブルーの未来像について尋ねてみた。
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「インタビューのテーマに合わせて、今日はブルーのジャケットにしたんですよ(笑)」(編注:深い青が写真でうまく出ておらずすみません…) |
藤原氏「期待しているのは、新素材の発見です。割れても中が青い金属ができないかと。セラミックならできますが、それを金属でできないかと考えています。『ある業界ではすでに実用段階にあるけれど、時計業界ではまだ使われていない』、そんな技術はまだあるはず。
昨年(2014年)のモデルで、ケースとバンドにディープブルーDLC(Diamond like Carbon)を施したMantaがあったのですが、このディープブルーDLCは、もともと、モータースポーツのエンジンに使われていた技術なんですよ。
新しい素材と仕上げの組み合わせをどんどん見つけて、新しい色を開発していくのが現在の自分の役割です。設計とデザインの橋渡しをしながら、『これが今回のオシアナス・ブルーか』と、お客様に喜んでいただけるような色を作り続けていきたいですね」