白熱するポータブルオーディオ人気の中、「ハイレゾ・ウォークマン」ことウォークマン ZXシリーズの3世代目となる「NW-ZX100」が発売される。何が変わり、何が変わらないのか、肝心の音はどう響くのか、いち早く入手した実機のインプレッションをお伝えしよう。
3世代目のハイレゾ・ウォークマン
2013年発売のNW-ZX1に始まる「ハイレゾ・ウォークマン」は、何より音質が身上。再生周波数やハイレゾ再生というスペックではなく、高剛性シャーシや高音質パーツの採用など物量重視の設計が訴求点であり、そこがポータブルオーディオファンに評価された。どちらかといえば、デジタルアンプ「S-Master HX」や帯域拡張技術「DSEE HX」は高音質を獲得するための手段に過ぎず、ユーザーもその点を心得ている。
一方、ポータブルオーディオプレイヤーとしての総合力となると、バランスを欠いた点があったことは否めない。初代ZX1は約139gだったが、2世代目ZX2はそれを大きく上回る約235gとなり、身軽さという点ではマイナス方向に振れた。バッテリーもZX2で改善されたとはいえ、ハイレゾ音源再生時で最長33時間と、オーディオ専用機としては若干もの足りない。ZX2は価格も約12万円と重量級だ。音質は最重要、されど……ということろか。
ハイレゾ・ウォークマンの3世代目となるZX100は、バランスに配慮した製品といえる。ZX1に始まる高音質設計を継承し、さらに磨きをかけつつも軽量化を図り、バッテリーパワーを伸ばし、価格を抑える。音質というアイデンティティを保ちつつも、より幅広い層に受け入れられるようバランスをとった、ポータブルオーディオプレイヤーとしての総合力を重視したモデルなのだ。
そのため、ZX1やZX2と機能は多少異なる。まず、OSについてはZX1/ZX2ではAndroidを採用していたが、ZX100では独自OSに回帰。よって、アプリの追加による機能のカスタマイズはできない。Wi-Fiはサポートされず、DLNAも利用できないことから、BCR-NWH10(オプションのハイレゾ出力対応クレードル)を利用したネットワークプレーヤー化の道も閉ざされている。
一方、ハイレゾ対応のデジタルノイズキャンセリング機能に対応し、屋外での利用の場は広がった(別売のMDR-NC31/NWNC33が必要)。ZX1/ZX2のDNAを継承しつつも、サウンドリスニングに対するアプローチを変えてきたモデル、という理解でいいだろう。