Apple Watchの販売動向に注目が集まっている。現在Appleはまだ同製品の販売状況や実数について何も公表していないが、7月7日(米国時間)にある調査会社が報告したデータによれば、4月10日の発売日をピークに日々の販売台数は減少し、最新データではピーク時から1割程度まで低下しているという。

このデータは信憑性を含め、さまざまな議論を巻き起こしているが、同時にApple Watchの動向に人々の関心が集まっていることの証左でもある。同社は7月21日に2015年度第3四半期決算報告を予定しており、ここで初めて販売数に関するデータが公開されることになる。その前に、これらデータについて少し考察してみる。

Apple Watchの勢いが失われている?

Slice Intelligenceのデータは信用できるか? その場合の販売予測は?

いまAppleウォッチャーの間で議論を巻き起こしているのは、Slice Intelligenceという調査会社が報告したデータだ。Sliceによれば、同社はオンラインショッピングを行う250万のユーザーを対象に電子式のレシートを集め、その購買動向を分析するサービスを行っているという。活動開始からまだ1年未満程度とみられるが、Apple Watchの販売動向は比較的早い時期から追跡を続けているなど、話題の製品としてのApple Watchに着目している様子がうかがえる。

筆者がSliceの名前を初めて見かけたのが、6月18日に同社が発表したWatchの販売動向に関するデータで今回の7月7日の最新データはMarketWatchの記事で参照できる。

まず、6月18日にReutersが報じたSliceのデータによれば、Sliceが調査対象としている200万人(6月時点での数字)のうち、2万人以上がApple Watchを購入し、そのうち17%が2種類以上のバンドを購入しているという。そして6月中旬時点でのApple Watchの総販売台数は279万台だとしている。これがどの地域を対象とした合計数字かはReutersでは説明されていないが、おそらく後述の理由で「米国内」での数字だと考えられる。

Wall Street Journalでは翌6月19日に別の人物による異なる分析手段での予測を紹介しているが、おおよそ300万台以下の範囲だとしている。

次はMarketWatchのデータで、こちらは日々の販売数に触れるなど、より詳しいものになっている。それによれば、Apple Watchは4月10日の発売初日の20万台をピークに、以後は1日あたり2万台のペースとなり、現在では1万台を下回る日もある状態だという。これは、初速で150万台を販売し、先ほどの6月中旬時点のデータで300万台未満程度の水準に収まっていることを意味し、これが「Apple Watchは不調なのか」という議論を起こしている。