利用できる店舗という1つ目の課題

Apple Payの対応カードは当初、VISA、MasterCard、American Expressのみだったが、今後はDiscoverもサポートする予定となっている。サンフランシスコ近辺の都市で暮らしていると、地元の商店ではAmerican ExpressよりもDiscoverが利用できる店舗の方が多い印象で、利用範囲の拡大に一役買いそうだ。

サービス開始当初、22万店舗で利用できるとアナウンスしていたが、2015年3月の段階で、70万店舗に増えており、今後も増え続けることが予想できる。

Apple Pay登場時、Appleは、モバイル決済の競合陣営となっていたMobile Customer Exchange(MCX)とそのパートナーとの間で、論争が起きていた。例えばMCXのパートナーとなっているドラッグチェーンのCVSは、決済端末がApple Payをサポートしていながら、Apple Payを利用できないようにしているとの批判に晒されていた。さらに、MCXのセキュリティの問題や、普及・利便性の問題などが大きく取り上げられ、Apple Payをサポートしないことがネガティブに働くようになっていた。

それから9カ月ほどが過ぎ、Apple PayによるMCX陣営の切り崩しが順調に進んでいるようだ。

MCXの立ち上げメンバーだった家電小売りチェーンのBest Buyが、店頭でのApple Payのサポートを表明した。同じく立ち上げメンバーのTargetも、Apple Payのサポートについて発言しており、MCXから離れずにいる初期メンバーはWallmartだけになりつつある。

新たにApple Payをサポートする小売りチェーン群。Best Buyは競合のMobile Customer Exchange(MCX)の初期メンバーでもあり、Appleの切り崩し戦略は成功しているように見える