LGAパッケージとしては初となるIres Pro Graphics統合モデル

インテル チャネル戦略企画室 小澤剛氏

インテル24日、都内で第5世代Coreプロセッサの新モデルに関する説明会を開催した。第5世代Coreプロセッサそのものは2015年1月に発表済みだが、その時点では2in1 PCや薄型ノートPCに向けた低電圧モデルのみの投入だった。今回は2015年6月に発表されたデスクトップPCやゲーミングノートPCに向けたモデルについての説明となる。

主な説明を行ったチャネル戦略企画室の小澤 剛氏は、Iris Pro Graphicsが初めてデスクトップ用のLGAパッケージに搭載され、またCore i5プロセッサにも搭載されたと説明。すべてのユーザーを対象としていないもの(外付けグラフィックスチップを使うことなく)80%程度のユーザーをカバーできるという。

新たに追加されたデスクトップPC向けCPUは、型番に"C"または"R"が付いた準ハイエンドという位置付けのモデル。このうち、"C"型番の製品はLGAパッケージで、"R"型番の製品はBGAパッケージだ。いずれもTDPは65Wで、グラフィックスにIntel Iris Pro Graphics 6200を統合する。さらに"C"型番の2モデルは倍率アンロック仕様となっている。

追加されたのは"Broadwell-H"ファミリに属する9製品。追加GPU搭載を想定するノート向け1製品を除き、すべてIris Pro Graphics6200を統合し、高いグラフィック性能をもつ

"Haswell"こと第4世代Coreプロセッサから、CPUアーキテクチャにはそれほど大幅な変化がなく、プロセス技術が変更されたのみではあるが、それをIris Pro Graphicsで補った形となる。

Iris Graphicsは、Intelの内蔵GPUとしては高性能なもので、中でもIris Pro Graphicsは描画などに使われているバッファメモリをパッケージ内に用意し、性能向上につなげている。

小澤氏はCPUのダイ写真を見せ、第5世代のCoreプロセッサでは、プロセス技術の更新によるトランジスタ数増大をグラフィックスに割り振り、ダイ面積のほぼ半分を占めていることと、(Iris Pro Graphicsに必要な)eDRAMコントローラーが含まれていると説明した。

ダイの半分がグラフィックスで占められた。14nmプロセスで生まれた余剰をすべてグラフィックスに割り振ったという

今回紹介されたデスクトップ向けの第5世代Coreプロセッサは、すべてTDPを65Wに抑えた製品だ。このため小型のSFF筐体やAIO製品といったフォームファクタへの搭載が可能で、Iris Pro Graphicsの内蔵と合わせて高い効率性・拡張性を持つという。

グラフィックを強化しつつTDPは65Wと抑え目なのでSFFやAIO筐体にも利用できる。またCシリーズならば倍率アンロックにも対応する

ベンチマーク結果。3DグラフィックスはIris Proになったので当然だが、処理性能も20%向上している。これはeDRAMをキャッシュとして利用できるためだ

Iris Pro 6200によって2006年比100倍の3D性能を実現

続いて、パフォーマンスについても紹介があった。Iris Pro Graphics搭載の第5世代Coreプロセッサの場合、2006年に発表されたプロセッサと比較して、グラフィックスの性能が100倍に向上したという。

Iris Pro Graphicsによって2006年比で100倍の3Dグラフィック性能を実現

100倍を達成する原動力はトランジスタ数の増大。黄色っぽくハイライトされているのが歴代のCoreプロセッサのグラフィック関連のエリア。前世代のIris Proと比較してもeDRAMが2倍に増えた

デモとして、キヤノンの現像ソフトウェア「Canon Cinema RAW Development 1.3」を使ったパフォーマンス比較を紹介。「Canon Cinema RAW Development」は4Kシネマカメラで撮影したRAW動画を現場でプレビューチェックするために開発されたものだ。RAW動画はストレージだけでなく、表示するためにも重い負荷がかかり、従来はワークステーションクラスの能力が必要であったが、後述するインテルのSDKとIris Pro Graphicsによって現場でプレビューできるようになったという。

デモとして、キヤノンの現像ソフトウェア「Canon Cinema RAW Development 1.3」を使用。キヤノンのC500というカメラで撮影した動画を現場ですぐにチェックするために開発されたというた

デモ環境。CPU周波数は多少減っているものの、このアプリでは高いグラフィックス性能が要求される。ちなみにC500のRAW動画は1フレームの「静止画ファイル」が多数集まったもので、1分の動画のために3600ファイルを処理する必要がある

比較対象として"Devil's Canyon"ことIntel Core i7 4790Kを用意。同じマザーボード、メモリ、ストレージで比較再生した。「Canon Cinema RAW Development 1.3」は、Iris Pro Graphicsを前提にしたソフトウェアということもあり、およそ2倍のフレームレート差となった。

デモ再生中。右側の第4世代Coreプロセッサは約半分のフレームレートしか出ず、パン時には明らかにコマ落ちが発生していた

「Canon Cinema RAW Development」を支えているのがインテルのソフトウェアツール「インテル Integrated Native Developer Experience(Intel INDE)」だ。「Canon Cinema RAW Development」では、静止画・動画のRAWの処理について、Intel HD/Iris/Iris Pro Graphicsでハードウェアアクセラレーションを行う「INDE Media RAW Accelerator」を活用し、従来の圧縮静止画/動画に加え、非圧縮静止画/動画でもプロセッサの機能を発揮することできるようになっているという。

デモ再生中。右側の第4世代Coreプロセッサは約半分のフレームレートしか出ず、パン時には明らかにコマ落ちが発生していた