デジタル一眼カメラを買ったばかりのときは、難しいカメラ用語にとまどいがちなもの。「今こそ知りたいデジタル一眼の基本」では、タイトル通りにカメラに関わる基本的なことをやさしく紹介していきます。今回のテーマは、写真のボケ表現に関係してくる「被写界深度」のお話です。

「被写界深度」、文字で表すととても難しそうですが、簡単に言うと「ピントが合っている(ように見える)範囲」になります。そしてこの範囲が、狭いものを「被写界深度が浅い」、広いものを「被写界深度が深い」と言います。

花の写真やポートレートでよく見られる、背景などをボカした写真は被写界深度が"浅い"もので、風景写真のようにスミからスミまでピントが合っている写真は被写界深度が"深い"ものです。

上が、被写界深度が浅い写真。下が、被写界深度が深い写真

被写界深度とカメラの撮影設定

被写界深度は、絞り値(F値)、レンズの焦点距離、撮影距離(カメラから被写体までの距離)で決まります。この被写界深度とカメラの撮影設定の関係を理解することで、ボケを取り入れるのか、逆に全体をクッキリと写すのか、自分のイメージに近い写真が撮れるようになります。

被写界深度 浅い 被写界深度 深い
絞り値 小さい (絞りを開く) 大きい (絞りを絞る)
レンズ(焦点距離) 望遠 (長い) 広角 (短い)
被写体との距離 近い (寄る) 遠い (離れる)
撮影した写真の特徴 ピント範囲外は「ボケ」 近景から遠景まで「クッキリ」

具体的には、全体がシャキッとした「被写界深度の深い」写真を撮りたいのであれば、レンズは広角、絞りをなるべく絞って、被写体との距離をとるようにします。逆にボケを取り入れた「被写界深度の浅い」写真を撮りたいのであれば、レンズは望遠、絞りをなるべく開けて、被写体に寄るようにします。

どちらも絞りが関係してくるので、「A」や「Av」といった「絞り優先」モードにセットするのがポイントです。

ともに焦点距離80mmで撮影。上が「F29」に絞って撮った被写界深度の深い写真、下が「F5.6」まで絞りを開けて撮った写界深度の浅い写真 (キヤノン EOS 7D、シグマ 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM)

こちらは35mmの焦点距離で撮影。絞り値は上が「F29」、下が「F4.5」 (キヤノン EOS 7D、シグマ 18-250mm F3.5-6.3 DC OS HSM)

また、被写界深度の浅い、ボケのある写真を撮るには、絞り数値を小さく設定できる大口径レンズが役立ちます。また、センサーサイズが大きいカメラも有利です。コンパクトデジカメよりもデジタル一眼のほうがボケますし、センサーはAPS-Cサイズよりもフルサイズのほうがボケの度合は大きくなります。

被写界深度という言葉は難しいですが、デジタル一眼ならではの表現を楽しむことができるので、ぜひとも覚えておきましょう。

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